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世界フカシ話  作者: シブ
5/6

【一体さん】

 噸智。とっさの機転、という意味ではあるが、決して駄洒落や屁理屈という意味ではない。

「このはし渡るべからず」

 ある寺にいた僧は、橋の中央を渡った。「はし」が平仮名だった為、橋ではなく、端と捉えたのだった。

「この端渡るべからず」

 別の寺では、橋が老朽化した為、中央を渡ってもらおうと看板を立てていた。木材の端部が腐りかけ、崩れていたのだった。参拝者も少なく貧乏な寺の為、新築する予算が出来るまでは、という苦肉の策だったのだが。

 それを見たとある修行僧は、何故か新しく橋を造り始めた。それも急拵えの物ではなく、本職もかくや、という立派な架け橋を。近くの森で木を伐採し、瞬く間に橋を掛けていく。図面さえ引かないその姿に、近所を通り掛かった町人らは何処の雑芸団かと噂した。そして半日足らずで作り上げたその橋を、堂々と渡って行ったのだった。元からあったそれとは比べる間でもない、立派で頑丈な橋。貧乏な山寺には似つかわしくない、豪奢な彫り飾り付きの。


 別の寺では、住職が一人で檀家からの差し入れであった飴玉を独占していた。

「これは、修行中の者には毒となるのでな」

 と、弟子達には言っていた。生臭坊主のくせに、と全員が悪態をついている。

 それを知った彼は、飴玉を全て毒薬へとすり替えた。・・・毒と言っても、別に死に至る物ではない。三日三晩下痢が続くだけの、言ってしまえば超強力な下剤である。

「おや、毒に中たりましたか。では師匠も修行が足りない、と判断されたんでしょうねぇ・・・」

 すり替えた僧が誰なのか、誰も知らない。確かに実情を記した手紙は近隣の寺に送ったが、何処の寺もそういった者は知らぬ存ぜぬの一点張りであった。そこからついた渾名が一体さん。一体何者なのか、そして何処から現れ、何処へ帰って行くのか。今日も一体さんは、困り事のある寺へ現れては、その問題を解決していく。

世界フカシ話なのに、何でか日本製が連続。いきあたりばったりだし、是非もないよね?!

・・・そろそろキノコをディスるか。

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