STEP6-4 おわりのはじまり~謎の贈り物と突然の別れ~
『ID不正使用&スノーフレークス開花事件』から、約一週間。
俺のIDはようやく本来の権限を付与され、晴れて、製薬部ファームエリアにも自由に出入りできるようになった。
夕食の席はちょっとしたパーティーとなり、少なからぬアルコールも酌み交わされたが、俺は酔わない程度でやめておいた。
なぜって、祝いたい相手が他にもいるから。
地下二階、二重に遮蔽されたファームで待ってるあいつ。
お気に入りのカップに少しの紅茶を入れて、ファームの前で、前祝いの乾杯といこう。
部屋に戻れば、ナナっちからのおみやげの小包が宅配ボックスに届いていた。
子猫サイズの小包のなかみは、四つに折られた白い紙と、掌サイズのガラス瓶。
瓶は広口でころりと四角く、プラスチック製らしき大きめのねじぶたがついている。全体としてインスタントコーヒーの入れ物をぎゅっと小さくしたかのような感じだ。
中には小指のツメほどのサイコロがふたつと、脱酸素剤の白い錠剤が見えた。
紙を広げてみればB5版ほどのサイズに小さな活字でびっちりと、丁半博打のやり方が記してあった――おいおい、どうしてそうなった。
まあそれは明日聞けばいいか。小包の中身をとりあえず机に置く。
かわりにスマホを手に取り、スノーに心で呼びかけた。
今から会いに行ってもいいか、と問おうとすれば、彼女からのおめでとうが待ちかねたように届きはじめた。
『メール着信 おめでと :S・F』
『メール着信 ……っていうのも:S・F』
『メール着信 へんかしら?:S・F』
『メール着信 でも、うれしい。これで:S・F』
若干、不自然にメッセージが途切れているのに違和感を感じた。
最近では、こんなことはなかった。『スノー』は表示部分の字数を考慮し、俺が読みやすいよう、すこしでも自然な切れ方になるようにしてくれている。
それにこんなハンパでメッセージがとまるということ自体、今までなかった。
『メール着信 これで、サキさ:S・F』
『メール着信 んと、:S・F』
変だ。あきらかに変だ。
「スノー?! どうしたんだ。何があった?!」
『メール着信 おちついて、聞いて:S・F』
『メール着信 わたしは、そろそろおしまい:S・F』
「な……に、いってるんだ?」
『メール着信 わたし、つぎのわたしになるの:S・F』
『メール着信 はやくせだいをかさねすぎたのかな:S・F』
「……!!」
『メール着信 もっとあとだとおもってた:S・F』
『メール着信 しんぱいかけてごめんね:S・F』
『メール着信 でもだいじょうぶしばらくしたらつぎのわたしが:S・F』
『メール着信 やくそく:S・F』
「スノ――!!」




