次の目的・次の計画
天志達は想像以上に早く仲間を見つけた。
もう少し時間がかかると思っていたが、ラムールに着いたその日に見つけてしまった。
かなの質問攻めでわかったことは、愛は偶然通りかかったお爺さんに南に行けば城があると言われ、大きなバックに出来るだけ食料を詰め込み、その城を目指したらしいが、どんなに歩いても見つからなかったらしい、10日以上歩いてやっと着いたのが、ここラムールだったようだ。
やっと見つけて、町に入ろうとしたが今度は入り口の検問で引っかかった、スキルブックを持っていなかったからだ、そこで一悶着あったらしいが、その美貌を武器に、今晩お酒に付き合うからという条件で中に入れてもらったらしい、その話を聞いて咲とかなめと菊之助も、自分達も苦労したと話し、皆リンを冷たい目で見るのだった。
その後愛は、この町で用心棒の様な事をやっていたと話した、しばらく順調だったが、客が居なくなってきたことから、明日にでも移動しようと考えていたらしい、天志達が一日遅れていたら、すれ違いになっていたかもしれない、今日天志達が着いたこと、愛がもう一日飲み溜めしようと決めたこと、それは運がよかったとしか言えなかった。
天志達は愛にリンの事、これからどうするかを話した、そしてこれは強制じゃないと、愛は天志が居るから皆と行動を共にすると恥ずかしそうに言った、不純な動機かもしれないが、それは本人が決めたこと、愛がそう決めたならそれでいい、こうして愛が仲間に加わった。
天志達はこれからどうするかを話し合う、想像以上に愛の発見が早かった、愛を探しながら次の行動を決めようと思っていたが、ラムールに着いて、1時間で愛を発見してしまった、嬉しい誤算だが、早速次の事を決めなければならない。
ヒースはここで情報を集め、その後唯一足取りがわかっていた仲間、水の大地に向かったと言う女を探すことを提案する。
「戦争が始まっているからな、どんどん動きづらくなる、出来るだけ早く見つけたい」
「でもヒース、全員で一人を見つけるより、別れた方が早くないかしら」
「咲の意見はもっともだが、まとまって動いた方が危険は少ないぞ」
「そうね、ならヒースから見て私達を二つに分けた時、戦力としてはどうなのかしら」
「普通に見てもう問題はないな、ただ、それは普通に見てだ、この前のピエロみたいなのが来たら、まだまだヤバいぞ」
「アレにはもう会いたくないわ、でもあんなのに会う確率はそう高くはないのでしょ」
樹神以外の全員が、ピエロに会いたくないと言った咲の意見に同意する。
「多分としか言えないな、あのピエロは俺も想定外だった、そんなイレギュラーがこの前も起きた、そう考えると用心しときたいとは思う」
「そうね、何が起きるかわからないのよね」
「せめてあと一人、別れるにしても4,4にはしたいな」
「そうなると、やっぱり一番はウォタレスに行くのが早いのかしらね」
「だな」
「別れるとしたらどんなパーティーがいいのかしら」
「次の一人の能力にもよるが、まず俺と咲は別々だ、愛ちょっとスキルブックを見せてくれないか」
「ほら、よっ」
愛がヒースにスキルブックを投げつける、それをヒースは普通に手渡されたように取り、スキルブックを確認する。
「愛、スキルブックは頑丈だけど大事に扱えよ」
うおっ、普通に取りやがった、やっぱりこのオヤジ中々やるんだな、愛はスキルブックをかなりの力で投げつけたが、それを難なくキャッチしたヒースに驚いていた。
九条愛 24歳 ギルドランクB レベル51 HP407 MP252
魔法 ヒール テレポ ダーク
「愛お前、一人でよくここまでレベル上げたな、しかもテレポ持ちとは優秀だな、それと闇魔法か、これはまた珍しい属性だな」
「レベルなんて勝手に上がんだろ」
「それにしても凄いって言ってんだよ、天志達と比べてもそんなに遜色ないからな」
「そ、そうか、て、天志と同じくらいか」
「愛ねぇ凄いね」「スゲーね」
かなめと樹神が愛を褒める、褒められたことより天志と同じと言われた事が嬉しいのだろう、愛は恥ずかしそうだ。
「これなら咲、かなめ、樹神、菊之助のチームと、俺、天志、愛、そしてどんな能力でも、もう一人の奴でチーム作ろうと思えば作れるな、天志と菊之助と樹神は入れ替えが利く、かなめと愛はテレポ持ちだから必ず別々だな」
「バランスはよさそうね」
「だな、でも咲、二手に分かれた時はお前にかなり頑張ってもらうことになるぞ」
「かまわないわ、だから時間のある時、この世界の情報をもっと詳しく教えてほしいの」
「そうだな、俺とダ・スルームで出来るだけ説明する」
「お願いするわ」
天志達はここラムールで出来るだけ情報を集め、水の大地ウォタレスに向かうことにするのだった。
天志達がラムールの酒場で話し合っている時、目と鼻の先のラムール城ラムカの部屋にまた、ピルール・クルールの姿があった。
「デブ、次はどうするの?」
「そうだな、そろそろあいつの封印を解いてもらうか」
「もう解いちゃうの?」
「今すぐではない、そろそろだ、グリーフ城を外から攻めながら、内側からも攻撃する」
「えっと、あれ名前なんだっけ、まぁいいや、あいつそこそこ強いけど、頭は悪いから、うまくやれるかな?」
「別に中で暴れてくれればそれでよいわ」
「ふーん、そっか、暴れるだけならあいつで問題ないね」
でも、グリーフの国冒の人達、思ってたより強そうなんだよね。
「そう言うことだ」
「で、いつ決行するんだい?」
「今兵を編成している、後数日後だな、最初にグリーフ城から離れた、町か村を襲ってその後、城を叩く」
「どっかに目を向けさせるんだね」
「ああ、グリーフはいい国冒が揃っているらしいからの、少し離れてもらわねばな」
「まっ、頑張ってよデブ、天使様の期待に答えてね」
期待してるか知らないけど。
「わかっておるわ、天使様に宜しく伝えてくれ」
「うん、天使様の事馬鹿って言ってたよって言っとくね」
「お、お前、そんなこと一言も言ってないだろうがっ」
「冗談だよ、じゃバイバーイ」
いつも通りピルール・クルールは消えた。
あのピエロめ、ワシで遊びおって、必ず痛い目に合わせてやるわ、だが、先ずはグリーフだ、あの大地を我が物にしてくれるわ。
「グフ、グフ、グワッハッハーー」
ラムカの部屋に汚い笑い声が響くのだった。




