祭り開始のカウントダウン
ここから三章になります。
面白いと思っていただけたら評価おねがいします。
天聖祭のカウントダウンが世界中で始まる、3・2・1・0、ウワアアアアアアアアァァァアア!!
皆が天に感謝し、食べて飲んで歌い踊りだす、世界中で同時に花火が上がり夜空を彩る。
エレクシアの五大陸ではそれぞれの国のお祭りがあるが、日にちなどはバラバラだ、だが年に一度、三月一日だけは、五大陸全て、大小さまざまな町や村全てがこの日を祝う、世界を挙げてのお祭りだ。
毎年そうだった、争いがあってもこの日だけは休戦した、それがエレクシアの習わしだった。
今年も来年もその次の年も、このままずっと続いていくと誰もが思っていた。
今、世界中が笑顔に包まれているこの瞬間、世界で見れば米粒の様な小さな村で、笑い声ではなく、ただ一か所、叫び声をあげている場所があった。
グリーフ国境警備隊の村だ。
国境の警備の為だけに作られた村、村にいる全ての者が隊員だ、日によって人数はバラバラだが、この日は67人がこの村にいた、全員がジョッキを持ちカウントダウンを始める。
3・2・1・それは花火の誤射かと思われた、村に大きな火の玉が飛んでくる、また一つ、コレも誤射か?そして、また一つ二つ三つ・・・「敵襲だあああぁあ」隊員の一人が叫ぶ、村に作られた簡素な家が燃えていく、「うあああぁ」隊員にも火がついている、そして、500人の敵が攻めてきた。
仲間の一人が剣で切られ倒れる、また一人が矢で刺される、魔法で倒れる者もいる、一人また一人と倒れていった。
そんな敵の中には、涙を流し立ち尽くしている者が何人もいる、サバールの警備隊だ、二つの隊員たちは仲が良かった、一緒に酒を飲んだ、色々な話しをした、自分の国の者より仲がいい者もたくさんいた、その者達が自分達の国の攻撃で倒れていく、見ていられなかった、助けることもできない自分に腹がたった、だがこの作戦に反対した隊員の一人は、躊躇なく殺された、攻撃に参加しないものは反逆罪だと、家族も同罪だと言われた、サバールの警備隊52名はただ涙を流すことしかできなかった。
67人いたグリーフ警備隊も半数以上が殺された、残るは25人、また二人命を落とす、これで23人だ、隊員達は必死に抵抗した、国に報告するために3名を逃がす、残りの20名はその壁となる、ここで死ぬ覚悟を決めた者達だ。
死を覚悟した20人は想像以上に強かった、本来の力以上の力を発揮した、だが数で勝る敵に時間を稼ぐのが精一杯だった。
一人は腕を落とされ、一人は目を潰される、また一人は腹を裂かれる、それでも男達は立っていた。
皆国の為に、ではない、国に居る家族の事を想って戦っていた。
だが一人、また一人と倒れていく、残り13人、今12人になろうとした時、敵の剣を防いでくれた者がいた。
「遅くなって悪かったな、本当にすまない」
顔を布で隠しているがグリーフの隊員達は声でわかった、ザバスだと。
隊員の一人が言った。
「何で来たっ、ここに居たらお前も死ぬぞ、だがありがとう、名も知らぬ人よ」
その言葉は残っている隊員全員の言葉だった。
グリーフもサバールの隊員も知らないが、ザバスは強かった、腐っても元国冒だ、そこらの兵士は相手にならない。
ほぼ一人で隊員達の前に居る敵を食い止める、むしろ数を減らしていった。
自分達の兵が攻めあぐねていることを察知し、一人の男が前に出る、サバールの国冒の一人ザムークだ。
「こんな数に手こずってんじゃねぇ」
「ザムーク様すいません、一人かなりの手練れがいまして」
「はっ、なら俺がやってやるから、お前らどきな」
そう言って兵を下げ、ザムークが前に出る、そこには顔を布で隠し、一人だけ空気の違う男がいた。
ザムークはいきなり斧で切りかかる、ザバスはそれを難なく受け流し、ザムークの首の皮を一枚切った、ザバスは首を飛ばすつもりだったが、流石は国冒だ。
「うおっ、あぶねぇ本当にツエーじゃねぇか」
「今のうちに行け、ここは俺が必ず食い止める」
ザバスは傷つきながらもまだ生き残っている、グリーフの隊員達に言った。
「だがお前一人ではっ」
「大丈夫だよ、案外俺強いから、次会ったら酒でも奢ってくれ、ははっ・・・早く行け!足手まといだ」
ザバスは隊員達が逃げやすいように、わざと強い口調で言った
「すまない、必ず酒を奢らせてくれ」
隊員達はわかっていた、自分達が逃げやすいようにと、ザバスが足手まといと言ったことを、隊員達は傷が深い者に肩を貸し、それでも急いでその場から逃げる。
「一人になっちまったな、あんな奴等逃がしたって、どうせすぐにお前殺して追いつくぜ」
流石に数が違いすぎる、ザムークは余裕そうだ。
「やれるだけやってみるさ」
ザバスはここで死ぬ気、はない、ラムカを殺すまでは必ず生きてやる、ただ本当にヤバそうだ。
ザムークの攻撃を受け流し、二人の攻防が始まる。
ザムークがすぐに倒すと思って見守っていた周りの兵が焦りだす、見るからにザムークが押されているのがわかるからだ。
一人また一人とザムークに加勢する者が現れた、だがザバスはそんな者達相手ではなかった。
次第に敵の数が減っていく。
「クソー誰だテメーは」
ザムークがイラ立つ、その体は何か所も出血していた。
そんな時、一人の者が近づきながら話しかける。
「ねぇーまだ終わらないの~?」
「あ、あんたか、こいつかなりツエーんだよ」
「僕、早く帰りたいんだよねぇ」
ザバスとザムークが戦っている場に、ピルール・クルールが現れた。
「何人か逃がしちまった、早くコイツヤッて追いかけねぇと」
「なら早く倒して追いかけてよ、まぁ少しくらい逃げても構わないんだけどね」
ザバスは焦っていた、何だこのふざけた格好の奴は、かなり強いぞ。
「あんたも手ぇ貸してくれ」
「えっと・・・君弱いんだね、名前知らないけど?」
「ザムークだ、この前言っただろ」
「ああそれそれ、まぁいいや、興味ないし」
ピルール・クルールは仮面を外し、一瞬にしてザバスの目の前に移動し、元居た場所に戻った。
「これで少しは楽になったでしょ」
「ぐあああああっ」
ピルール・クルールの手にはザバスの左腕が握られていた。




