表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/105

そつなくこなす男

「こいよっ、黒」


 剣の名前を呼ぶと天志の右手の掌の文字が一つ赤く光った、その瞬間、黒が出現した。


「うお! 出やがった、これでうさちゃん倒せばいいんだな」


「うん、テンテンみたいな戦闘初心者でも、ある程度なら黒が教えてくれるから、あのくらいのお雑魚なら余裕だよ、だから最初はここら辺の魔物を、体力が続く限り倒しまくってレベルを上げるよ」


「よっしゃ、いっくぜっ」


 天志はピクニックラビットまで駆け寄りそのまま黒を振り下ろす。

 その瞬間、何の抵抗もなく魔物の体を切り裂き、一体の魔物は霧となって消えた。


 そして、すぐ横にいたもう一体も横薙ぎに切る、同じように抵抗もなく切り裂き霧となって消えた。


 ! ピロリーン・レベルが上がりました。


「うお、なんだこれ、レベル上がったぞ」


「最初だからそりゃすぐ上がるよ、この調子でどんどん強くなってね」


「はいよっ、意外と俺強くね」


「うん、もっと下手くそかと思ってたんだけど、格好は何か様になってたね」


「下手くそ言うな、俺は何でもそつなくこなすんだよ」


「そうなんだね、でもそつなくじゃなくて、最強クラスになってもらう気だから、並程度でうかれないでね」


「わかってるよ」


 テンテンには最低でも一人であいつを倒せるくらいになってもらわないと、時間が全然足りないな、他の子達も早く見つけてできるだけ早く強くなってもらわないと。




「テンテンいけぇ~~」


「いってるよ、ちくしょー」


 天志は見つけた魔物を片っ端から倒していた、リンがとにかく倒せ倒せとうるさいからだ。

 今もちょうどカエル系の魔物ゲコルンデスを刺し殺し霧になったところだ。


「もういいだろリン、結構やったぞ」


「お雑魚ばかりだけどね、ねね、レベルいくつになった? 」


「はっ? いくつになったって聞かれても、何度かピロリンなったけど、覚えてねぇよ」


「あっ、そっかテンテンまだ見れないもんね、忘れてたよ、じゃあ今日はこのくらいにして明日またやろっか、今日はこのままハパールでギルド登録しよ、それでスキルブックだけでも貰わないと何かと不便だからね」


「待て、色々出てきてわかんねぇ、一個ずつ頼むわ」


「もぉテンテンは弱い子だねぇ、だから、今日はこれからハパールのギルドに行くよ、ギルドで登録すればスキルブックが貰えるんだ、スキルブックはこのエレクシアの身分証みたいなものだね、その人のレベルや強さなんかを表示してくれるんだ、で、ギルドでスキルブックを見せるとその人に合ったクエストなんかも紹介してくれるよ、クエストをこなしてお金も貯めないとね、リンの体があればお金には困らないけど、今はね、これがこれでこれなもんでってね、無一文だからね」


「スキルブックね、便利なものなら貰っとくか、それよりハパールには何時つくんだ?」


「もうすぐだよ、この丘を登れば見えるよ」


 天志のいるグリーフは、緑に囲まれたのどかな感じだが、小高い丘がいくつもあり起伏がはげしい。


「うおっ、見えたあれがハパールか」


「うん、そうだよ、取り合えず第一目的地には無事についたね」


 ハパールの町は、3m位の丸太で町を一周囲まれていた、魔物に侵入されない為の対策だ。


 三か所ある出入り口も一か所以外は閉じられている、門番らしき人に軽く会釈をし、町に入る。


 町並みは石造りのものが多く、所々に木で簡単に作られたテントのような建物があり何かを売っている

まぁ驚くこともない想定内の町並みだ。


「ほらテンテンあれがギルドだよ」


 町を入って、すぐに目に入るひときわ大きい建物、それがギルドらしい。


「へぇ~意外と大きいんだな」


「そうだね、ギルドはこのエレクシアの町にはほとんどあるからね、村みたいな小さい所はないけど、だから自然と人が集まって、資金が増えるそれで建物も大きくなっていったんだよ、ギルドの上の何人かは国王クラスの権限があるくらいだからね」


「お前なんでも知ってるな」


「だってリン・・・の方がテンテンよりエレクシアに住んで長いんだよ、テンテンより詳しいに決まってるじゃん」


「そりゃそうだ、まずはギルドに行けばいいんだよな」


「うん、お金が全然ないからね、スキルブックを貰って、今日テンテンが倒した魔物の討伐報酬貰わないと野宿だよ」


「討伐報酬? 」


「うん、クエストとは別に魔物を倒すと、その数と、魔物の強さによってお金がもらえるんだ、魔物はほとんどが存在悪だからね、倒してもらうのに越したことはないんだ、でもお金にならないならみんなクエスト受けちゃうでしょ、そこで倒した魔物に応じてギルドで討伐報酬を払うようになったんだ、でもお金を稼ぐならやっぱり、クエストを受けた方が儲かるんだけどね」


「なんとなくわかったわ、とにかく魔物倒せば金が入るってことだろ、レベル上げるために鍛えてれば勝手に金になるんだな、一石二鳥じゃねぇか」


「うんそうだね」


本当はクエスト受けながらの方が効率いいんだけど、たまには未来の旦那の顔も立ててあげないとね。


「それじゃ受付しちまうか」


「うん」


 そんな一人と一匹の姿を遠くから見ている影が一つ、柱の陰にあった。


「あいつか」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ