契約
何か勢いで契約しちまったけどまぁいいか、一度終わった人生、まったく違う世界でやり直すのもわるくねぇ、しかも初めからとびっきりのいい女つき、二度目の人生出だし最高だ。
「でよーリン、契約って何するんだ?」
「ああ、そうだったねテンテン、あまりの喜びで忘れてたよ」
「テンテン! 俺をテンテンって呼んだよな今、まっ好きに呼んでいいけどよ」
「テンテンって可愛くない? リンが気に入ったから君は今日からテンテンね」
「好きにしな、しかも一人称も変わってるのな」
「リンはリンも気に入ったからね、それにテンテンが付けてくれたから」
「あっそっ、で? 契約って何するんだ?」
まぁ本人が気に入ったなら好きにすればいい。
「うん、ちょっと待ってね、よいしょっと」
そう言ってリンが何もない空間を引っ張ると、そこに大きな玉座が現れた、黒光りした玉座の背もたれの部分には剣や槍、斧などの武器が全部で1,2,3・・・16本の武器が刺さっていた。
その中の8本は色を失ったかのように黒くザラついた感じに見える。
その玉座にリンが腰を下ろし脚を組んで言う。
「他の子達にはこの中から1本武器を選んでもらって契約の印を押したんだけど、さっきも言ったけど、もうここにいられる時間が少なくてね、後七人見つけたいんだけど、他の子を待ってる時間がないんだ、幸いなことにリンが見たところテンテン結構、ううん、かなりいい感じだから、残りの8本任せるね」
「任せるねって、そんなんでいいのかよ、だったら一人2本とかの方がよくねぇか?」
「多分、他の子達は一人1本が限界なんだ、八人の中に一人だけ2本いけそうな子がいたけど、もう契約しちゃったからね、1本持てるだけでも凄いんだよ、リンとの波長が合う人間って中々いないから、8本持てるかもってのは本当に凄いの、テンテンが全てをくれたってのもあるけど、それを差し引いてもやっぱりテンテンはリンと、かなり波長が合うみたい、だからテンテン後宜しくね、すぐは無理でもそのうち使えるようになると思うから、多分」
「多分かよ、俺は知らねぇからな、リンがそれでいいなら貰えるものは貰っとく」
「リンはそれでいいよ、未来の旦那は強いに越したことはないからね」
「お、おう」
「それじゃどこにしようかな? 他の子達は貰ったところに入れたんだけど、テンテンからは全部もらちゃったからねっ、印入れるのどこがいい?」
「どこがいい? ってタトゥーみたいなもんか? 目立つのかそれ? 」
「目立つかって聞かれると場所によるとしか言えないね、例えばオデコだったら目立つね」
「そんなのわかってるけどよ、大きさとか色とか色々あるだろ」
「入れてみないとわかんないけどそんなに大きくないと思うよ、色は他の子達はみんな黒だったね」
「その印は何の為に入れるんだ? 」
「簡単に言うと、リンの力を流すルートみたいなものかな」
「そっか力か、じゃあ右手の掌はどうだ? 力入れるって言えば、利き手の掌だろ」
「わかった掌ね、じゃあ手貸して」
「ちょ、ちょっと待て、痛くねぇか?」
「全然だよ、安心して」
そう言うとリンは立ち上がり天志の手を取って、自分の人差し指を噛んで血を流す。
そのまま目を閉じ呪文のような言葉を唱えながら、天志の掌に一滴、二滴・・・全部で八滴の血を落とした。
するとその一滴一滴が動き出し、見たことのない文字が八つ天志の掌に、円になって描かれた
「ハイ終わり、契約の儀終了、今からテンテンはリンのものです」
「これだけか? あっけねぇな」
「それじゃとりあえずあの中から1本選んで、今すぐ8本は無理だから」
「どれでもいいのか」
「色がくすんで砂利ってるのは、もう他の子が持ってった奴だから、それ以外ならどれでもいいよ」
「俺、第一印象から決めてましたコイツ! 俺何でもパっと見で決めんだよ」
天志の選んだ物は全てが黒い日本刀の様な剣、刀身からすべてが黒い、それに天と書いてあるように見える刻印みたいなモノが気に入ったようだ。
「へぇー黒を選んだんだ、よく抜けたね! 他の子達も何人か黒選んだんだけど抜けなかったんだよね」
「黒って言うのかいいじゃねぇか、俺はこう言うシンプルなのが好きだ」
「それじゃあんまり時間もないし、エレクシアに戻るからね摑まっててよ、この狭間で落ちたらリンは多分もう迎えに来れないから」
「エレクシアって言うのかお前の世界は、つーかお前が落とさないように気をつけろ」
「わかってるよ、念のためだよ、行くよ」
そう言ってリンが天志の肩に手を回した瞬間、空間が歪む、そして物凄い力で引っ張られるような感覚で進んでいく。
「ちょっとテンテンおっぱい揉まないで、落としちゃうよ」
「バカコエーんだよ、ちゃんと掴んでろよ」
「わかってるよ」
全部あげるって言っちゃったし、それにしばらく触らせてあげられないから、ちょっとくらいはいいか。
「あっ! 」
「なんだよ、どぉしたリン? 」
「ううん、大丈夫もう着くよ」
その引っ張られるような感覚がなくなると、天志はエレクシアの地に立っていた。