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槍使いの男

 辺り一面を雪が覆いつくした地、回りに生えている木々は雪で白くコーティングされている。


 そこに一人の男が立っている。


 真っ白いマントを羽織り、フードを深く被っている、口にも布を巻いていて見えているのは目元だけだ。


 男が呼吸をするたびに白い息が布から漏れる。


時雨シグレ


 男がそうつぶやくと、男の右手に3mはある槍が出現した、男の視線は一点を見つめ動かない。


 よく見ると男から2,30m離れたところに魔物が数体いる、男の視線の先にいるのはBランクの魔物レイウルフが三匹、レイウルフは全身が真っ白な毛で覆われ、尾の先端は氷でできている狼型の魔物だ。


 そしてもう一体、Aランクの魔物、火竜カリュウがいる、火竜は竜族の中では体も小さく弱い方だが、それでも竜族だけあってランクはAだ、火を使う魔物だが寒いところを好み、主な生息地は雪と氷に覆われたここヒエリアだ。


 男はまだ距離がかなり離れているが槍を構える、そしてそのまま前方にいるレイウルフに向かって槍をつく。


百地ヒャクチ


 男がそうつぶやく、すると3m程だった槍が物凄いスピードで伸びていき、一匹のレイウルフの眉間に槍が刺さり突き抜け霧となった、それが戦闘の合図となって、2匹のレイウルフが男に向かって駆け出す、火竜はまだ動かない。


 一匹のレイウルフが尻尾から氷の塊を飛ばす。


 男は横に飛び氷をよけながら呪文を唱える「ファイヤ」氷を撃ってきたレイウルフに向かって左手から火の玉を飛ばす、魔物に直撃するがまだ霧にはなっていない、もう一匹のレイウルフが男の目の前まで近づいておりそのまま男に体当たりをしてきた。


 男は後ろに吹き飛ぶが槍を地面に突き刺し倒れずに踏みとどまった。


「イテェなバカ犬、消えろ」


 そう言った瞬間体当たりしてきた魔物の下から槍が飛び出す、男が地面に刺した槍が地中を伸びレイウルフを下から串刺しにした、魔物は腹を貫かれ霧となる。


 槍は魔物を貫いたままなお伸びていき空中で弧を描きながら3匹目のレイウルフも貫き霧にした、その時3m近い火の玉が男に直撃し10m近く吹き飛ばされた。


 火竜が最初にいた場所から動くことなく、男と魔物の戦闘を見ながらタイミングを計り、男の撃った火の玉の10倍はある火の玉を撃っていた。


「うぅ、マジいてぇ、まだこのレベルじゃキチィか」


 男は立ち上がり槍を構える。


「あいつとの距離は・・4,50mこの距離ならいけるか」


 そして男は・・・・・・逃げた!


「マジいてぇ」

 今はまだAランクはキチィか、これじゃまだあいつに傷一つも付けられねぇ、あんな化物倒せるとは思ってねぇけど、せめて一太刀、それだけでいい、もう少し待っててくれよ、一発食らわせたらすぐに行くからよ。

麗奈レナ




 天志達はギルトに向かっていた、昨日のクエストを報告するためだ。


「今日はクエストの報告したら馬車でグリーフ城まで行くからね」


「グリーフ城? なんだよそれ」


「この世界エレクシアは、大きく5つの大陸からなってるんだけどね、5つの大陸全てに国王がいるの、でねこのグリーフを収めてるのがグリーフ城のパウロ王なんだけど、その人にちょっと用があってね、会えるかどうかはわからないけど、観光がてらってことでね」


「へー、お前国王も知り合いなの? スゲーな」


「リンスゲーね」


「少し面識があるだけだよ」


「それでもスゲーけどな、で、馬車だとどのくらいかかるんだよ? 」


「2,3時間で着くと思うよ、で、グリーフ城の城下町で一泊して次決めようと思ってるんだけどいい? 」


「お前に任せるから好きにしな、でもヤドリギ明日までしか取ってねぇけど、ここに戻る予定はあるのか? 」


「そこなんだよね、テンテンヤドリギ気に入ってるから戻りたいんだけど、どうしよっか」


「俺のホームはヤドリギだからな」


「随分気に入ったんだね、とりあえず、明日はハパールに戻ることにしよっか、これからの事は明日ヤドリギに戻って決めるってことで」


「わかった」「は~い」


「おはようございます、マリーナさん」「マリーおはよぉ」


「おはようございます天草さん、おはよぉ樹神ちゃん」


「クエストの報告に来たんだけど」


「かしこまりました、クエストカードをお預かりしてよろしいですか」


「どうぞ」


「はい、クエスト達成ですね、お疲れ様です、こちらがクエスト報酬になります」


「あっどうも」


 今回のクエスト報酬は76000Lだった、日当で考えればかなりおいしい。


「討伐報酬も換金なさいますか? 」


「どうするリン? 」


「冒険者はだいたい討伐報酬は貯金みたいに貯めてる人が多いね、クエストみたいに報告しないと次が受けられないわけじゃないから、中には全部お酒に消える人もいるみたいだけどね」


「ふーんじゃっ貯めとくか」


「それがいいかもね」


「コダマンもためるー」


「偉いねコダマン」


「ふふふ」


「マリーナさんとりあえず討伐の方はまた今度でいいです、またよろしくです」


「かしこまりました、それではお気をつけて、バイバイ樹神ちゃん」


「またねマリー」


「それじゃ馬車乗り場まで行こっか」


「おう」「うん」



 馬車乗り場は三つある出入り口の、普段閉められている門のところにあるらしい、馬車の出入りがない時は閉まっているみたいだ、物資などの輸送もあるので積み下ろしの際に、普段みんなが使う場所では通行の邪魔になるかららしい。


「デカい馬だな」「デッケーね」


「うん、大きいし速いし、それに結構強いんだよ、Dクラスの魔物は寄ってこないね」


「へぇーカッコいいなコイツ」


「あっ、ちょうど出るみたいだよ」


「いいタイミングだな、行くか」「しゅっぱ~つ」


 こうして、天志達はグリーフ城へと向かった。


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