夢
あの頃の夢は何だった?
大人になるにつれて、夢は道端に置いてきぼり。現実味が帯びるばかりだ。
「君の夢はなに?」
赤いマフラーを巻いた君が笑う。
「まだわかんない」
きっと、いつかは、大人になるんだ。
頭の中で描いていた夢は、現実に轢きづられ、すり減る。
在り来りのものしか望めなくなるんだ。
「嘘つけ」と、また君が笑う。
冬の冷たい風に君の長い髪が舞う。
「嘘なんか吐いてないよ」
嘘は吐いてない。進むべき道が見えてないから。
「本当は分かってるくせに」
君の突き放したような言葉が胸に刺さる。
「君の目にはもう見えてるはずだよ」
そう言って、彼女はまた笑った。
子どもの頃の夢なんて忘れちゃってるかもしれないけど、ちょっと一息吐いて、振り返ってみて。
夢なんてなかった、と思う人もいるかもしれないけど、「将来、こうなりたい!」「こういう人になりたい」「これが好き!」っていう気持ちを思い出してほしいなって思って書きました。