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九回目の実験
拷問用の椅子に座らせられているアルラを、俺はガラス張り壁越しに見つめている。
そうだ、あの時もああやって、被験体が逃げないように、椅子にくくりつけた。合意の上とはいえ、痛みや恐怖で、途中で暴れ出す可能性があったからだ。
結局逃げも暴れもしなかった被験体は、……私の娘は、あっさりと死んだ。
それが私の、最愛の一人娘との最後の記憶だ。
不老不死が叶えば、娘を病気の苦しみから救ってやれると思った。しかし、彼女の残り時間が少ないことに焦って、安全性の検証が不完全な実験に起用して死なせたのは、他でもない私だ。
ガラスの向こうにいる研究員が耳を塞ぐ。アルラが悲鳴を上げているようだ。
ああ、きっと、あの時あんな風に泣き叫んでくれていたら、俺の心は許されていたのだろう。
記憶の中の俺の娘は、今日もにこにこと笑っているのだ。