銀の砂
砂があふれて星を隠した
それはある日のこと
青い涙は枯れ
静かな光はのまれ
暗い夜がきました
かえしてほしいと 嘆くひとも
かれからかれは うばえません
星の里がありました
星が流す 雫をあつめ
星に祈り 暮らしました
それは昔のこと
ゆるしてほしいと 祈るひとも
かれはやさしく いやしました
愛しい子等を いだくように
青い涙は 許しの色
星はかわらず ありました
落ちる雫は 万病の薬
かの光は 祝福の瞳
星にいのる 里はいつしか
かなえてほしいと やまぬ声も
それでもかれは ゆるしました
うつろう時に 微睡むうちに
里は荒地になりました
やさしい時に さようなら
とうとう 声は絶えました
落ちる泪は銀の砂
白い銀は罪の色
神に寄り添う 里は
神がいない世界を知りません
かれが眠りについてから
かの里は壊れてしまいました
ほしの祈りも わすれたの
かれの言葉も わすれたの
全てをゆるす かれは
すべてを流すことにしました
強欲な老人も 狡猾な若者も
無知な子供も 哀れな赤坊も
愚かで愛しい 星の里も
砂に埋もれて
星の泪は 銀の色
全てを隠して 全てを流して
かなしいかなしい 銀の砂
昔むかしのある日のこと
砂があふれて星を隠した
願いの砂 癒しの砂
この星は銀の砂