所沢は幼馴染みの川を越える
さて、Twitterの方で予告していた、所沢×川越の幼馴染み短編、出来上がりました!
「お前達、やっぱり平和だよな」
友人にこの前そう言われた。お前達、というのは俺と、そしてもう1人。幼馴染みの……
「そうですか?私はいつも通り朔之介君といるだけですよ?」
こいつが、幼馴染みの脇田弥生だ。
なんていうか……美人、なんだよな。ずっと幼馴染みとして一緒だったからわかるが、とにかく男子の人気は高かった。
そんな弥生と、特に何でもない俺、俺は弥生と一緒なのは楽しく思っているし、できれば離れたくなかったが、いずれ仲良くなくなるのではないだろうかと思っていた。だが、今でもこうして一緒だ。
あの時の言葉は今でも覚えている。弥生が5回目の男子の告白をされた後のことだった。
『もしかして、俺っていなかった方がいいのか?』
『……え?なんですか突然……。』
『もし、これまでの告白を断ったのが、俺のことを気づかってとか、そんな理由だったなら、そんなこと気にする必要は無いってことだ。俺がお前から離れればいい。別に俺達が一緒にいなきゃいけないなんてことはどこにも………』
そこで、あいつは言ってくれたんだ。
『私は朔之介君と一緒がいいからいるんですよ。告白だって、朔之介君がいることは関係ありません。』
『いや、それでも………』
『私にたとえどんな関係の人がいたとしても、朔之介君がいたいと言う限り、私のそばにいてほしいと思っています。』
『そ、そうか………。』
平和、確かにそうかもしれない。あいつとはどんな話をしたって楽しいし、弥生だって笑ってくれるからな。きっとこれからもこんな感じの『平和な幼馴染み』というものを続けられるはずなんだ。
………だから、弥生と話しているだけなのに弥生を見ているとドキドキするとか、そんなことがあるはずがない。こんなこと感じるなんて、ありえないに決まっている………っ!
☆
そしてその後も、特に何も無い日が続く。かつて幼馴染み限定だという喫茶店に2人で行ったことがあるが、その店の人にも『すごくほのぼのしてんなぁ』と言われた。本来の幼馴染みとは、こんなものではないのだろうか?わからないけれど、弥生とのあり方はこれがいいのだと俺は思っている。
そう、そして今日もいつも通りの道を弥生と一緒にいつも通り歩くはずだった。
「朔之介君、一緒に帰りましょう。」
弥生はただ俺を誘っただけだが、おれはなぜこんな気持ちになっているのだろうか?
だって今までずっと一緒だったんだぞ?こんなの当たり前のことなのに、どうしていつもと違うんだ………?
「……朔之介君?どうかしましたか?」
「………ん?あ、あぁそうだな。帰ろうか……。」
さっきの弥生にもまた、ドキッとしてしまうのだった。やっぱり、何かおかしいよな………。
☆
ほんの偶然の話だ。俺はある人物に会う。
「お前はあの時の、平和幼馴染みの片割れじゃないか。」
羽淵透さん、以前行った幼馴染み限定喫茶店の店主さんだ。
「どうしてここに……。」
「悩む幼馴染みの元に俺は行く。そういうことだな。」
「よく俺が悩んでるってわかりますね。」
「そんなのは勘だ。で、お前は幼馴染みのことで悩んでいるのか?」
もう仕方ないか、俺はこの人に悩みについて話すことにした。
「なるほどなぁ、平和幼馴染みも悩んだりするんだなぁ。あいつらほどじゃないけどなぁ。」
「あいつら?」
「俺の店に来た幼馴染みのうちの1組でなぁ。あいつら両想いのはずなのに全く打ち明ける気がないんだよな。それで他のことで悩んでるんだよ。○○に幼馴染みを取られそうだとか、幼馴染みが自分から離れて行っちゃうとか、両想いであることにも気づかず、幼馴染みがいなきゃ生きていけないなんて本気で悩む奴だったりもするんだよな。そいつらに比べれば、お前はずっと平和だよ。あいつら、特に男の方には直接見せてやりたいくらいだ。」
そんな人がいるのか……。
「だから、お前だってそんなことで悩まなくてもいい。幼馴染みの形なんてそれぞれ違うんだ。成長すれば、幼馴染みに対して変に意識することもあるだろうし、それが恋心だったり、今までずっと一緒だったことからくる独占欲だったりするもんだ。だからお前も、その気持ちを大事にしな。俺はお前達が一緒にい続けることを望む限り支えてやる。全ての幼馴染みの味方になるつもりだからな!」
なんだろうか。この人の話を聞いていると、弥生に関することがすっきりする。本当にすごい人だよな。羽淵さんは。
☆
俺が弥生に感じている気持ちって、なんなんだろうな。
「おはようございます、朔之介君。」
「あぁ、おはよう………。」
家を出たら、また一緒だ。そして、またあの時のドキドキが感じられた。だが今日は違う。あの人のおかげではっきりわかるんだ。
俺は本気でこいつが好きだって。
恋愛感情かどうかはまだ怪しいところがあるけれど、俺は弥生との毎日を手放したくないのだ。だからこそ、あの時の弥生の言葉を思い出すと、弥生を好きだと思う気持ちが表に出てきて、ドキドキしているんだ。
そんな俺に言えるのは、こうしていつも通り一緒に朝会って、一緒に話して、一緒に笑って、幼い頃からずっと続いている何気ない行動の1つ1つを、これからも弥生と続けていきたいということだ。
「朔之介君は、今日は特に嬉しそうですね。」
「………そうか?まぁ、今日はいつも以上に気分がすっきしているからな。」
「そうですか。私も、朔之介君がいい気分でいられて嬉しいですよ。」
こうして、俺と弥生の、何も特別なことはないけれど、何よりも楽しい日常生活が、今日も始まり、そして、これからも続いていく………。
そろそろ短編書かないとな………とは思っていました。そこでいつ投稿しようかと思った時に、どうしても今日投稿したかったんですよねぇ。まぁその理由はちゃんとあるのですがここでは省略で。
キャラクター原案担当で、埼玉県の駅擬人化をやっているきりしま氏には、幼馴染みが全部で3組いるんですよ。1組目は現在連載中『新座志木馴染み』にも出てくる志木×新座、2組目はこの所沢×川越。さて、あと1組はどうしましょうかね………ww彼らに関しても何か物語を作ってみたいものです。
キャラクター原案のきりしま氏と、あとこんなものをわざわざ読もうとする幼馴染み沼の皆さん(??)、幼馴染み発信室としてはとても嬉しいです!これからも、幼馴染み発信室をよろしくお願いします。




