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政治論考集

弱い菜食主義について

http://ncode.syosetu.com/s1695c/

このシリーズのひとつ。

 ここに、「弱い菜食主義」、あるいは「消極的菜食主義」といったものを提案してみたいと思う。

 それは何か。

 日本では、菜食主義への風当たりは、まだまだ強いように感じる。よくある批判のひとつが、植物も動物も同じ命なのだから差別はよくない、好き嫌いなく食べよう、というものだ。

 もちろん、この批判自体に反論することもできる。

 たとえば、同じ命なのだから人間も食べるべきではないか。

 虫や猿の脳みそ、カエルや犬や猫なども積極的に食べるべきではないか。

 それをせずに、肉を鳥や牛や豚などに制限することは、すでに何を食べるかを習慣によって選別しているのでは? そして、何を食べるのかを選んでいる以上、それは菜食主義と同じなのではないだろうか?

 といった風に。

 しかし、とりあえず、この批判に反論することはやめて、別の視点から菜食主義を追い求めてみたい。批判にいちいち反論するのもエネルギーを使う人もいるだろうからだ。


 そこで、「弱い菜食主義」である。

 「いつ、いかなるときも、肉を食べない」とか「餓死するような状況じゃないと肉を食べない」とかではなく、「食べなくても済むときはできるだけ食べない」とか「無理のない範囲で食べない」という菜食主義を「弱い菜食主義」と呼びたい。

 もちろん、これは自分の心構えといったところであり、周りの状況によっては「強い菜食主義」、つまり「絶対に肉を食べない」と外から見た場合に見分けがつかないということもありうる。

 これは、自分が菜食主義だということをみんなに主張する必要が少ないように思われるので、あまり風当りが強くないのでは、と考えた。


 しかし、自分と食べ方が違う人を否定したい人はいるかもしれない。

 そういう人は、きっとイスラム教だろうと、好き嫌いだろうと嫌なのだろうし、さらに自分が相手の菜食主義という食生活を否定しているのに、自分の食生活を変える(猫を食べるようにしろとか)ことは無理だとさえいうかもしれない。

 そういう人は、相手にしなければいいと思うが、無理ならその人の前では肉を食べてもいいだろう。

 できる範囲で菜食主義をしよう、というのが、弱い菜食主義の提案である。

 肉が食べたくなったら、食べたっていい。野菜を積極的にとっていけば。

 そして、この考え方がいやになったら、やめたっていいのだ。


 こういう考え方は、軟弱だ、と菜食主義者からも、菜食主義者でない人からも否定されるかもしれない。

 その場合は、強い菜食主義になっても、菜食主義を放棄しても、そのまま自分を貫いても、どっちでもよいだろう。

 無理しないのが大前提だ。自分を変えるほうが自分を変えないより無理なら、自分を貫けばよい。


 しかし、食生活に関することは、一種の思想戦争、宗教戦争のようになりかねない場合があるとは思う。

 他人の信仰にいちゃもんをつけるのは、自宗教中心主義だと思うが――――そういう人たちに対して、自分を貫いている強い人たちを尊敬する。しかし、それができない弱い人たちのためにも、それでも100パーセント自分の在り方を他者にゆずりわたす必要がないように、弱い菜食主義を提案したい。

 もちろん、菜食主義に少し興味がある人のためにも、最初のステップとしても、悪くないと思っている。






【補足:菜食主義は、現在の畜産や農業に対する静かな抵抗という意味合いを持つ場合がある。それに関連した研究。】

世界の耕作可能な土地の面積が、過去40年間で30パーセント減少したというコーネル大学の2006年の研究。

(出典:「もの思う鳥たち」)

この本では、緑の革命が土地を荒廃させてしまうというような記述もある。だが、まだこの件に関しては信頼できる情報の裏付けがない。


http://www.sciencedaily.com/releases/2006/03/060322141021.htm


Soil Erosion Threatens Environment And Human Health, Study Reports

Date:March 23, 2006

Source:Cornell University

Summary:

Soil is being swept and washed away 10 to 40 times faster than it is being replenished around the world, destroying cropland the size of Indiana every year, reports a study by David Pimentel of Cornell University. Yet the need for food and other grown products continues to soar.


(中略)


The study, which pulls together statistics on soil erosion from more than 125 sources, reports:

The United States is losing soil 10 times faster -- and China and India are losing soil 30 to 40 times faster -- than the natural replenishment rate.

The economic impact of soil erosion in the United States costs the nation about $37.6 billion each year in productivity losses. Damage from soil erosion worldwide is estimated to be $400 billion per year.

As a result of erosion over the past 40 years, 30 percent of the world's arable land has become unproductive.

About 60 percent of soil that is washed away ends up in rivers, streams and lakes, making waterways more prone to flooding and to contamination from soil's fertilizers and pesticides.

Soil erosion also reduces the ability of soil to store water and support plant growth, thereby reducing its ability to support biodiversity.

Erosion promotes critical losses of water, nutrients, soil organic matter and soil biota, harming forests, rangeland and natural ecosystems.

Erosion increases the amount of dust carried by wind, which not only acts as an abrasive and air pollutant but also carries about 20 human infectious disease organisms, including anthrax and tuberculosis.

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