第2話・涼と勉強
夏休みも折り返し地点を過ぎたある日の午後。僕はしのぶちゃんと一緒に涼の家に来ていた。
「問題。次のカッコに当てはまる言葉はアからオのどれ!?」
僕は教科書に書いてある問題を読んだ。
その問題に対し涼は「ここは“ウ”だな!」と答え、しのぶちゃんは「違うね、きっと答えは“ア”だよ!」と答えた。
「二人とも不正解。答えは“イ”でした」
夏休みといえば普通は宿題だが僕たちの通う高校は少し違う。夏休み中、宿題はほとんど出てなく4日もあれば終わる量しかない。だがその代わり夏休み明けにはテストがあるのだ。夏休み中自習をしっかりしていたかという理由で数年前に実施したらしい。
「次の問題出すぞ」
『さぁこい!』
涼としのぶちゃんの声がハモった
「次の文章を読んで作者の気持ちを答えよ」
二人はじっと考え、部屋の音は静まり返った。と思ったらその静寂を断ち切るかのようにしのぶちゃんが叫んだ。
「こんなの作者しか分からないでしょー!」
正論……じゃなくて文句を言い始めた。
「二人が休み明けのテスト不安だからって言うから来たんだけど、しっかりやらないなら青葉さんでも呼ぼうかな~?」
僕はポケットから携帯を出すと咄嗟に涼が僕の腕を掴んだ。
「それだけは勘弁してくれ……」
どれだけ青葉さんが怖いんだよ……
「しっかりやる?」
「頑張る!」
「私も頑張る!」
「分かったよ」
僕は携帯をポケットにしまった。
そして二人は現代国語教科書を開いて黙々と作業をし始めた。その間僕は涼の持ってる漫画を読み始めた。
部屋にシャープペンで文字を書く音のみがなった。
カタカタカタというと音からシャーっと線を引く音とか……あれ? 何か違う音が聞こえたが……
漫画を置き後ろから二人のノートを覗きこむとそこには答えではなく落書きを一生懸命書いていた。
僕はそっと携帯を出して青葉さんに連絡した。
そして何事もなかったように僕は再び漫画を読み始めた。
そして20分経っただろうか? 青葉さんと美羽がやってきた。
「こんにちわー」
「おじゃまします~」
「げっ! 青葉なんで居るんだ!?」
「二人とも今日はお買い物なんじゃ……?」
急いでノートを閉じる涼としのぶちゃん。
「ちょっと二人が勉強してないという匿名の連絡を貰いましてね~」
青葉さんがニコっとを笑った。この笑顔が逆に怖いんだよな。
その時、涼は気がついた。
「翼! お前が連絡したんだな!?」
「さぁ~? 匿名さんって誰だろうね~?」
僕は目をそらした。
「さて二人ともノートちょっと見せてもらうわね」
青葉さんが二人のノートを取り上げた。そしてノートをめくってしばらくの沈黙が。
「青葉……さん? ノートを返してもらえませんか?」
涼は何かを察したように敬語になった。
すると青葉さんは突然ノートで二人の頭を叩いた。
「痛ってー!」
「痛いよー!」
頭を押さえて二人は倒れた。
「いつから美術の時間になったのかな? テストには美術はないでしょ! ……まぁ説教はここまでにして二人に良い物を買ってきてあげたから」
「なんだ?」
「お菓子?」
青葉さんはバックから薄い紙袋を取り出した。
「はい、どうぞ」
二人は受け取ると急いで中を開けた。そこに入っていたものは――――――。
「こ、これは……」
「なんという恐ろしいもの」
二人の手には市販のテキスト本があった。
「二人とも今回赤点は嫌だっていうから買ってきてあげたのよ」
「ページ数が少ないのを選んだのですぐに終わると思いますよ」
そういう美羽は涼達と同じテキスト本を持っていた。
「美羽も買ったのか?」
「私は個人的に欲しかったので。まだ学校来たばかりなので」
「なるほどな」
それで今日は青葉さんと買い物だったのか。
「俺達にはテキスト本があって翼にはないのか?」
涼が矛先を僕に向けてきた。
「翼君は前期の成績どうだっけ?」
「全教科平均点は超えたけど」
「という訳で二人は赤点無しじゃなくて平均点超えようね」
目標がさらに上がった。
「なぁ青葉、これどこまでやればいいんだ?」
涼がテキスト本をぺらぺらめくりながら聞いた。
「全部よ? 今月中には終わるでしょ」
「マジか……」
「ところで涼としのぶは学校の宿題は終わってるでしょ?」
「え?」
涼が一瞬固まりすぐ「半分は……」と答えた。
「翼君は?」
「僕は後半にやるから。といってももう終わるけどな」
「まぁ翼君はしっかりしてるからね」
「そういう青葉は?」
「私? 私は夏休み入って2日くらいで終わらせたわ」
「はやっ! じゃぁ天野は?」
「私は宿題出てないので」
「写せないか……いや、しのぶが居る! お前もやってないだろ!?」
「え? 私はとっくに終わってるよ」
「しのぶが宿題を? そんなはずは無いだろー」
涼はあざ笑うように言った。
「失礼だね。7月中に青葉と終わらせたもんね~」
「ちょっ! 俺も呼べよ!」
「だって休み入ってすぐの時、宿題やろうって誘ったら忙しいとか言って断ったじゃん」
「そう言えば……」
実はその時涼と僕は一緒に遊んでいた。新しく出たゲームを二人でやっていてモンスターを倒している時に電話が来て(モンスターとの戦いが)忙しいと言ってすぐに切ったのだ。
「くそー! どうすればいいんだ!」
涼が頭を抱え悩んでいる。なんて典型的な悩み方なんだ。
「というか自分でやれよ」
「だってテキストもあるんだぜ」
「しょうがないわね。じゃこうしましょ」
涼は青葉さんから宿題の問題集を3日以内に終わらせることを約束にテキストのページ数を減らしてもらった。
2話ありがとうございました
実は最近作詞作りを少しやっていてこの小説の歌詞もちょろっと出たんですよね
ボイスドラマ的なのやってみたいです
それではまた次回お会いしましょう!
ツイッターは @huzizakura




