序章 懺悔
序 章・懺悔
追憶 空は古今相変わらず碧いです
嘗て世界中を巻き込んだ戦争があった。いや、紛争と言うほうが正しいだろう。
世界を何度破滅に導けども余りある膨大な火種。大量破壊兵器によるカタストロフィが回避され冷戦が終結した後、世界では小国家、地域間の紛争が増加した。宗教観の違い、民族の違い、資源の争い・・・まぁ何でもいい。
世界の歯車は着実に狂い始めていた。狂ったものは修復しようとする。人間なら当然の行い。これを遠因として国連の半ば強引な梃入れが入った
――――――でも
もし、その歯車自体が欠陥。亀裂でも入っていたら?
なるほど、人という存在は物の根幹に障じている誤りと言うものを隠し、其の儘通そうとするものか。或いはそれを承知の上で推し進めるものか
狂った歯車は無理な力を込められ、為されるがまま壊れていく。
しかし、歯車を失ったシステム。世界は中途半端に壊れたせいで余計に歪な世界へ変貌してした。こんな世界なら一度完璧に壊れたほうが良かったのかも知れない
混迷
混沌とは似て非なる其れは世界中に飛び火。システムは歪んだままに回り始める
私たちは戦争に巻き込まれていく。私たちが憶えておくべきは、我々の本当の敵。百鬼夜行の物怪ではなく洋画のゾンビやエイリアンでもない。勿論、神話なんかに出て来る様な魔物でも無い
人の敵は人だ
ゆえ、世界は完璧に戦争を厭わなくなった
その世界に駆り立てられ、人生を大きく変えた者。その流れを甘受して受け流した者。自ら快楽のために利用する者。罪を祓おうとする者。それを唯見届ける者。まぁ色々かな
しかし、自らの意思に反してその世界に加担すると言うのは如何なるものか。人を殺したく無くともその指で引き金を引くという業。家系という呪い。幾年経とうとも変らぬロジック。
そして私たちは宙を飛翔る
このちっぽけな世界で見る景色。山脈を覆う雪を掃い、幼き日に見た景色を重ねてみよう
私たちは何処まで飛んでいけるのだろうか
「――ねぇ、君は未だ元気かい?」
《二番機のフライトレコーダー00:03:32》