エピローグ
活動を終了したAIRが、新たなプロジェクト名でLandedをリリースした年、僕の瀬戸内での生活は2年目に突入した。過疎化が進むこの地が僕の次のステージとなった。大学の同級生の故郷で誰も住まなくなった家をそのままギャラリーに出来るだとか、芸術祭のプロジェクトに誘われただとか、いくつかの偶然が重なった。悪くない。この地に希望はまだ残されている。そして、みゆきとのこと。時の流れは速いが、僕達は相変わらずだった。みゆきは、上場企業で働いているし、僕は今年の夏から始まる芸術祭に向けて今までになく忙しくしている。だが、僕達はお互いしかいないことを知っている。
テクノロジーは、更に進化を遂げTwitterやFacebookといったサービスが爆発的に普及している。世界は、ますます効率的かつ大量の情報を流出し、危うさを秘めたそれらのツールから人間の本質や体温や五感を読みとる事は難しい。秋幸の仕事は、まさに体温や五感を研ぎ澄ませた結果から生み出され、世界とつながる。私は、CSRの一環として秋幸が参画する芸術祭へ企業協賛ができないか提案した。この企画は部内で検討後、通過した。会社が、芸術祭の開催される地域に通信インフラを整備したばかりで、更なる支援が企業のイメージアップにつがなると主張した意見が響いたのだ。次のステップとして、役員会での承認を得なければならない。私は、これから始まる役員会議の時間ぎりぎりまでプレゼン資料を見直した。そして、ラップトップPCを持ち今、会議室の扉の前にいた。私は深呼吸をし、扉を開けた。
参考文献
・Early Autumn ロバートBパーカー
・アンディ・ウォーホル WARHOL クラウス・ホネフ
・ジャン-ミシェル・バスキア レオンハルト・エメルリンク
・ユダヤ人財産はだれのものか ホロコーストからパレスチナ問題へ 武井彩佳
・スーパーリッチとスーパープアの国、アメリカ バーバラ・エレーンライク
・アメリカのベトナム人 祖国との絆とベトナム政府の政策転換 古屋 博子
・麻ことのはなし 中山康直
・大地の芸術祭 北川フラム
参照楽曲
・ここで確かに AIR