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第二十五話 第二次東京空襲

「……第二次東京空襲が近い。ただちに新宿区から引き上げろ」無線で指令が入る。

「了解した。思兼おもいかねおよびその配下の機体を、元居た北区にまで北上させる。これで時間は稼いだ……皆、帰るぞ!」「了解」「おう」

 

 ところどころに山のように折り重なる天使を避けながら、稲城いなぎイナバは戦場から帰還を果たす。


----


 米空母上でのミサイル等の再装填おかわりが終わり、昼過ぎ。

 米軍は第二次東京空襲を決行した。

 

 米軍の空母打撃群から投射された各五十機、計百五十機の航空戦力(三十機は未帰還またはメンテナンスが必要だと判断された)が再び東京上空を襲った。

 F/A-18Eスーパーホーネットの兵装、M61A1 20mmバルカン砲(400発)、空対空ミサイルAIM-120 AMRAAMアムラーム、空対地ミサイルAGM-65 マーベリック、空対艦ミサイルAGM-84 ハープーン――再度言うが、大型のセラフ級も撃墜できる――これら全ての武装が、今度こそ天使たちを壊滅、否、消滅させるべく、再装填されていた。


 パイロットたちは目標の策敵に余念が無い。

 アビオニクスには大きく数の減ったケルビム級とオファニム級が映し出されていた。空対空ミサイルAIM-120 AMRAAMアムラームは以前より少なくなったケルビム級を次々にロックオンし打ち墜とした。AGM-65 マーベリックも同様にオファニム級を撃破した。

 パイロットたちは今度は余裕を持って、目視できたセラフ級に空対艦ミサイルAGM-84 ハープーンを叩き込んでいく。沈むセラフ級。脱出、散開するケルビム級も、次々とAIM-120 AMRAAMアムラームの餌食となる。

 

 洋上ではイージス艦三隻が待ち構えていた。逃れようとするケルビム級に、純白のSM-2スタンダード艦対空ミサイルが次々に命中した。

 

 結論から言えば、この第二次東京空襲で、東京に巣食っていた八割以上の天使が駆除された。人類の圧倒的勝利である。

 

----


「戦果は上々ね」テントの中で、水城みずきリナは言った。

「撃墜数、三百超。これだけ見れば奇跡に近いだろう。だが、この戦闘で須久奈すくな二体、迦具土かぐつち一体が犠牲になった。いずれもドミニオン級によるものだ。思兼おもいかね武尊ぶそんの振るう結界剣無しには全滅もありえた。この際、予算のことは忘れて結界剣を扱える武尊ぶそんを量産すべきだろうな」

 

 稲城いなぎイナバは自分の小隊の被害が気に入らない。少ないとはいえ、そしてクラスメイトではないとはいえ、自衛官が三人死んでいるのだ。

 

「まあ固いこと言わずに勝利の余韻に浸ろう。俺達が天使を引き付けていたからこそ、第二次東京空襲は成功したようなものなんだから」焔城ほむらぎユウがイナバを励ます。


「そうだな……。僕は少し眠る。何かあったら起こしてくれ」稲城いなぎイナバは野戦ベッドにその小さな身を預ける。

 その寝顔はまだあどけなく、本来の意味で天使のようである。

「うん。おやすみなさい、イナバ君」そう呟いて、水城みずきリナは決意する。この眠りを妨げる者には一切容赦しないと。

 焔城ほむらぎユウは気を利かせて立ち去る。

 椅子に腰掛けた水城みずきリナは、稲城いなぎイナバの寝顔を、いつまでもいつまでも眺めていた。

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