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不思議なカフェ  作者: 紙絵
第一章

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6/21

事件

ソラはバイトの帰り道、前を歩くミーちゃんを見つけた。こっちの方向なんだ。

作業着の男が網を持って歩いてくる。ミーちゃんを見ている。

あ!

男は網でミーちゃんを狙って振り回す。ミーちゃんはギリギリ避けた。逃げるミーちゃんを追いかけていく男。

ソラも慌てて追いかける。走りながらスマホを取り出して、甲斐さんに電話する。

繋がらない。

神社に入っていく。

ミーちゃん首輪付けてるから飼い猫って分かるのに、なんで?

保護目的ならおかしい。

「ミーちゃん!」

ソラが叫ぶとミーちゃんと男が気づいた。

「すみません、その猫うちの子です」

ソラがはっきり口にすると、作業着の男は一瞬怯んだ。

「そ、それは気づかなくて…でも、どうでもいいかなあって」

寒気がした。

あ、この人危ない。

感受性の高いソラは危険を察知して、いつもなら避けることができる。が、今回は追いかけるのに夢中で気づかなかった。

「どうでもいいって…?」

ミーちゃんが威嚇している。

「うざい猫だな」

男は網を振り回す。ミーちゃんが避ける。

「じゃあお前でいいか」

男がこちらを振り向いた。標的がソラに変わる。ミーちゃんが男に飛びかかるが、避けられてしまう。

網を放り投げる。

逃げなきゃ、足がもつれながらも神社の境内に走る。

誰かいて!

夕方の神社、人気はない。

「おいっ!逃げるな!」

大きな声に耳を塞いでしまう。

怖いっ

体が緊張して固くなる。転んでしまった。

追いつかれる

ミーちゃんが威嚇しているが、男はもう猫に興味はないらしい。

左手首を掴まれた。

「!」

振り解けない。すごい力。

「かわいいねぇ」

男がニヤニヤ笑っている。

こっこれはまずい!

「犬飼さん!」

男が後ろを振り向くと同時に、吹っ飛んだ。

手が離れる。

「大丈夫?何もされてない?」

甲斐さん来てくれたんだ。

「はい!」

「よかった…」

甲斐がソラをギュッと抱きしめる。

「!」

「は!ごっごめん!安心したらつい」

体を離す甲斐。

殴られた男は奥で倒れているが、意識はあるようだ。

「くそっ」

よろよろ逃げていく。

「逃げちゃいます!」

立ちあがろうとするソラ

「大丈夫だから!」

ソラを支えながら甲斐さんはスマホを取り出すと電話をかける。その間に男は見えなくなってしまった。ミーちゃんがソラの手を舐めた。

「ミーちゃん…無事でよかった。」

ミャアと鳴くミーちゃん。お店じゃないから話さない。

「…うん。あと宜しく」

誰かに連絡したらしい。

「電話すぐ出られなくてごめんね」

「いえ、でも来てくれてありがとうございます。どうしてここが分かったんですか?」

「勘だよ。犬飼さんの電話で緊急性を感じて…一旦お店に戻ろうか、歩ける?」

ミーちゃんはさっと走っていく。

「遅くなっちゃって、おじいさんが心配するから今日は帰るって。」

甲斐さんはお店じゃないのに猫の気持ちが分かるらしい。


お店に着くとルイボスティーを淹れてくれた。

「帰りは送ってくからね!」

「そんな、悪いです…」

「だめだよ、雇用主として心配だからね。」

そこまで言われてはお願いするしかない。

「ありがとうございます」

ルイボスティーを飲むと落ち着いた。それにこの場所もやはり安心する。

「犬飼さん!どっどうした?」

「え?」

涙が流れていた。

「あれ?」

自分でも気づかないまま流れてくる。

「どこか痛い?」

甲斐さんがあせっている。

カウンターから出てきてソラの顔を覗き込む。

「いや、安心したら勝手に…」

なかなか止まらない。

「…自分が思ってる以上に怖かったみたいです。」

さっき掴まれた手首をさする。うっすら赤い手の跡がまだ付いている。震えが止まらない。

頭に手が触れる。

「怖かったよね。もう大丈夫だから。」

甲斐はソラの頭をポンポンする。

「ハンカチなくて、服で拭いていいよ」

ソラは甲斐によりかかる。服が涙で濡れた。

「…すみません。もう少しこうしててもいいですか?」

「…うん。」

甲斐さんの匂い、落ち着く。震えが止まった。

泣き止んだソラが見た甲斐さんは、耳が赤かった。

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