前兆
「白い猫来た?キレイな子だったでしょ?」
月曜日、バイトへ行くとミーちゃんが甲斐さんと話していた。
「来たよ。また来るって言ってた。あの子は野良猫?」
「そうそう。最近疲れやすいって猫集会で聞いて、ここ教えたんだ。」
おやつを食べながら話している。
猫集会って本当にあるんだな。
白猫は野良猫で名前がなかった。
勝手に付けるのもおこがましいので、白猫ちゃんと呼ぶことにした。
翌日、白猫ちゃんが来た。
「おくつろぎ下さい」
ソラが言う。
「そうする。」
ソラは何となく白猫を見て気付いた。
「あ、もしかして赤ちゃん?」
ソラが白猫に訊ねる。
「うん。だから体が重くて」
白猫は少し大きくなったお腹で床に寝そべる。妊娠していたから疲れやすかったのだ。
「来る途中、知らない人間に追いかけられたの。頑張って走ったからもうクタクタ。」
そういうと白猫はスヤスヤ寝てしまった。
「追いかけられた?」
ソラは不安になった。悪いひとだったらどうしよう。
「ミーちゃんが言ってた、猫の失踪と関係あるのかな?」
甲斐さんが冷静に分析している。
「心配ですね」
ソラは白猫を見つめた。
そしてその日以降、白猫は来なくなった。
「白猫ちゃん、捕まったらしい。」
開口一番、ミーちゃんが報告する。
「そんな」
ソラはショックを受けた。お腹の赤ちゃんは無事だろうか?
「他の野良猫が見てたらしい。」
「そうか…ミーちゃんも気をつけて。首輪付けてる?」
甲斐さんが訊ねる。
「うん、ほら」
ミーちゃんが上を向く。青い首輪が見えた。




