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不思議なカフェ  作者: 紙絵
第一章

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4/21

猫被り

昨日はやりこんでしまった…

ゲームを夜中までやっていたので、眠くて仕方ない。

ソラはふらふらしながらバイト先へ向かう。

今日は土曜日。いつもより人通りも多い。

「おはようございます」

お店に入る。静かだ。

あれ?鍵開いてたけど、甲斐さんいない?

不用心である。

ロッカーにカバンを入れて、椅子に座る。

ちょっとだけ…腕に頭を預ける。

気が良い場所というのは本当で、このお店に来ると何だか元気になる。何となく思っていた事だが、寝不足の状態だとよく分かる。

それに、ポカポカしてて気持ちいい。


「犬飼さん、犬飼ソラさーん」

うるさいな、人が気持ち良く寝てるのに。

「お仕事だよー」

肩をトントンされて、はっとなる。

私寝てた!

ガタン!勢いよく立ち上がりすぎて椅子が倒れる。

甲斐さんの肩にぶつかる。

「ひゃっ」

よろけるソラを甲斐さんが受け止める。

「おおっと、落ち着いて」

「すみません、寝てしまい!あと、ぶつかってしまって!」

上を見ると甲斐さんの顔が近くにあった。抱き抱えられている。

「いいよ、いいよ。俺こそ来るの遅れてごめんね?」

甲斐さんが楽しそうに笑う。

心臓が激しく打つ。

なっ…何だ⁉︎

戸惑っている間に、甲斐さんはカウンターの段ボールに向かう。

「昨日兄貴が色々持ってきたから、それの整理してもらおうかな」

「はい、やります!」

少し寝たら元気になった。

「針、気をつけてね」

甲斐はニコニコしながら、ソラにミニサボテンを手渡す。

「カバン置いてくる。中に入ってるもの出しといてくれる?」

甲斐はロッカーへ向かう。

あせった…思わず抱き抱えてしまった。

顔に寝ていた腕の跡が付いていた。真面目な子だと思っていたけど、何だか可愛く見えた。


作業をしていると、猫が入ってきた。

小柄な白い猫だ。

「ふぁあ、ミルクから聞いて来たの。」

「あ、はい!」

ソラは何と言ったらいいか分からない。いらっしゃませは違うし、ようこそ〜はメイド喫茶?

「どうぞ、くつろいで下さい」

甲斐さんが自然に声をかける。

なるほど、くつろぐね。

納得するソラ。

「本当だ、ポカポカして気持ち良い」

白猫は丸くなった。

「ですよね!」

ソラは激しく同意する。

「ぷっ!」

甲斐さんが吹き出している。

白猫はスヤスヤ寝始めた。疲れているのか、野良猫だろうか?

甲斐さんはソラに手招きする。

「僕達も休憩しようか」

「はい」

甲斐さんはお茶の用意を始める。

「今日はミルクティーにしよう。お茶はアールグレイで癖がなくて飲みやすいよ」

ソラは砂糖を入れてかき混ぜる。

コンビニで買うミルクティーとは違う。香りが良くて甘さもくどくなくて、

「おいしい」

「よかった」

甲斐さんはニコッと笑う。

きれいな顔だけど、さっきの笑顔とは違う。

「どうかした?」

じっと見つめてしまった。

「いえ、甲斐さん何か疲れてます?」

「え?そう見える?」

「いや、ただ、さっきの笑顔と違うなと思ったので。」

甲斐は悪い事を見つかった時みたいに、どきっとする。

「そうか…お店用というか、外面用に猫被ってる所があるから。犬飼さんは鋭いね。」

観念したように甲斐が目をつむる。

この店に選ばれたソラは邪念が少ない。加えて感性も動物と似て鋭いらしい。

「嫌な気分にさせてたら、すみません。」

下を向くソラ。

「私昔から余計な事言っちゃって、怒らせちゃう事あるんです。」

またやってしまった、変に思われてクビになったらどうしよう。

「大丈夫、怒ってないよ。猫被りしてるのバレて恥ずかしいだけだから。」

甲斐さんを見ると、手で顔を隠しているが、耳が赤い。

「ホント、犬飼さんが謝る事ない」

年下の女の子にいい所見せたくて紳士ぶってたとか、それを本人に指摘されるとか、恥ずかしすぎる。

「怒ってないなら良かったです。」

甲斐の心境は分からないソラは、安心した。

「ミルクティーおかわり飲みたいです。」

「いいよ。おかわりあげる。」

ちょっと投げやりになった甲斐だった。

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