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不思議なカフェ  作者: 紙絵
第一章

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2/21

バイト初日

ソラは緊張していた。

お店見つけられるかな〜

昨日は目の前にあるのに気づかなかったのである。それに男性に女性だと思ったなんて…自分がそんなにポンコツだとは知らなかった。


お店に向かう道、歩道の端を猫が歩いてる。

動物は嫌いでもないし、特別に思い入れもないソラである。


お店には無事辿り着けた。ほっとしてドアを開ける。足元に何かが通った。猫だ。

「あ!ちょっと!」

するりと店の中に入る猫。


「あ、犬飼さん」

男性の甲斐さんがソラに気づく。

「お疲れ様です。あの、すみません猫が入っちゃって」

あたふたしながら猫を探す。

「あーミーちゃんね。大丈夫常連さんだから」

「常連?」

よく来る猫ってことか。でも飲食店なら野良猫は衛生上よくないのでは?

欠伸をして身体を伸ばす猫。

「ん?初めまして?」

日向ぼっこしている猫が話している。

話している?

まるで現実味のない展開に頭が付いていかない。

昨日やったRPGの案内人が猫だったな…

現実逃避だ。

「犬飼さん、あの…!」

甲斐さんが慌てた様子でソラに話しかける。

「あれ?さっき隣歩いてたっけ?」

猫が話し続けている。

この猫軽いな…

ゴロゴロしながら猫は続ける。

「オレはミルク。みんなからミーちゃんって呼ばれてる。君は?」

「私今猫に名前聞かれてる?」

思ったことが口に出ていた。

「そーだよー。名前教えてよ?固まっちゃってるね、大丈夫だよ〜」

猫にナンパされてる…?

「ソラ…です」

何となく敬語で話してしまった。猫なのに。

「ごめんね、犬飼さん。」

なんで甲斐さんが謝るんだろう?

「今日説明しようと思ってたんだけど、先に現場に遭遇しちゃったね」

みーちゃんが椅子に飛び乗る。

「あれ?オレなんか悪いことしちゃった?」

この猫、椅子で丸くなりながら悪びれもなくウダウダしている。

「このお店、動物と話せるんだ。」

「は?」

甲斐さん一体何を、でも実際この猫話してるし。

「ここは動物や植物が元気になるお店なんだ。枯れている植物も、疲れている動物も元気になる不思議な力のあるお店。」

そんなゲームの回復場所みたいな所が?

「必要な者がこの力をもらいに来るんだ。このミーちゃんみたいにね。」

甲斐さんは魅力的な笑顔で笑った。


ミーちゃんは話すだけ話したら帰って行った。

「突然びっくりしたよね、ごめんね。これハーブティ。落ち着くから飲んでみて?」

甲斐さんがお茶を淹れてくれた。

「ありがとうございます。」

暖かいカップから良い香りがする。

確かにそんな大事な事というか、突拍子もないことは事前に説明が欲しかった。

まあ、普通聞いても信じないだろうが。

「カモミールだよ。落ち着く作用があるしカフェインレスだから寝る前でも飲める。」

確かに一息つけた。


何でも、この場所は昔から良い”気”が溜まる場所らしく代々橘家一族が守っているらしい。


「そんな普通じゃない所、バイト雇っていいんですか?」

私がSNSとかに書き込んだらどうするのか。

「犬飼さんは大丈夫って感じだから。僕もなかなか勘が鋭いんだ。」

「はぁ。そーゆう。」

勘て。

「それに許可がないとここには入れないから、僕が許可したから犬飼さんは入れたわけで。他の人はきっと素通りしちゃうよ。」

確かに目の前にあったのに気づかなかった。あれは私がポンコツなわけではなかったようだ。

「説明はこれくらいにして、ちょっと手伝ってもらおうかな。」

甲斐さんが立ち上がって、買ってきたばかりのビニール袋からエプロンを取り出した。

「ありがとうございます。」

黒のエプロンを受け取る。

「それ付けたら植物の手入れお願いするよ」

その日はもう猫は来ず、植物の手入れで終わった。

ソラは、動物が話すこと以外は黙々とした作業、休憩のお茶が美味しいし、良いバイト先だと感じた。

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