2人の関係
兄の嵐が去り、車に戻る。
「甲斐さん、さっきは急にすみません!家の兄、すごく失礼な事言ってましたけど、気にしないでください!」
ソラが謝るが、甲斐はむしろ自分が恥ずかしくなった。
「いや、俺の方がソラちゃんに謝らないと…変な態度とってごめん。」
頭を下げる甲斐。
「いや、私がなんか気にさわることしちゃったんですよね。甲斐さん優しいから、私気をつけます。」
ソラは自分のせいだと思っているようだ。
「ソラちゃんのせいじゃない。俺の勝手な勘違いだから。彼氏できたと思って、その…妬いてました。ホント何様って感じで…」
甲斐は自分で言っていて情けなくなってきた。
「甲斐さんが私に妬いてた?やきもちって事ですか?なんで…」
ソラはそこまで言って、甲斐を見た。
「いや、その、何でかって…」
甲斐は心を決めた。
優しい顔でソラを見つめた。
「それは、俺がソラちゃんのこと好きだから」
「…え!」
ソラは固まる。
「帰ろっか。」
甲斐は何事もなかったように車を走らせる。
え?え!え?好きってどういう?甲斐さんが私を?
ソラはパニックだ。
車内は沈黙である。いたたまれなくなって、甲斐は言った。
「ソラちゃん、気にしないで。忘れてくれていいから。」
甲斐は前を向いたままソラに言った。
ソラを困らせるつもりは無かった。
その言葉に、何故かソラは胸が痛くなった。
お店に戻る。
ソラの退勤の時間だ。
「お疲れ様でした」
「うん、お疲れ様。」
ソラは外に出る。
なんだろ?この胸の痛みは…
好きって言われて、私嬉しかったのに。忘れてって言われて、悲しくなったんだ。
甲斐はしゃがみ込み、大きなため息を着いた。
「はぁあ。」
もう心を決めたはずなのに、女々しく忘れてくれていいなんて言って。
「カッコ悪い」
ドアが開く音がした。
振りむくとソラが立っている。
「ソラちゃん…?」
ソラは甲斐の隣でしゃがむ。
「…私忘れたくないです」
ソラの俯いている顔が赤くなっている。
甲斐は驚きと嬉しさで言葉に詰まった。
「…ソラちゃん、赤くなっててかわいい」
「かっ!え?甲斐さん?」
甲斐は顔を横にしてソラの顔を覗き込んでいる。ソラは焦って顔を隠す。
「隠さないで?」
「恥ずかしいので無理です」
甲斐はソラの手を掴んで顔から離す。ソラは赤い顔で、目がうるうるしている。
「ソラちゃんは、忘れたくない?」
「…はい。」
「それは期待してもいいってこと?」
甲斐の顔は真剣だ。それにちょっと近い。
「…はい。」
目が泳ぐソラ。
「ねぇ、こっち見て?」
甲斐がソラに迫る。
「見ないとキスするよ」
「!」
ソラは甲斐を見る。
甲斐はちょっと悪い顔で、楽しそうに笑っていた。
「もう!」
ソラはムッとする。なんだか悔しくなって、ソラは甲斐のほっぺにキスをした。
「へ?」
甲斐は驚きで動けない。
「じゃあ甲斐さん、また明日!」
ソラは颯爽と帰って行った。
うわ〜
しぼらく余韻に浸っていたい。が、足が痺れてきた。
それでも甲斐の機嫌はいいままである。
家に帰るとリクが待っていた。
「おかえりソラ」
「お兄ちゃん、ただいま」
お兄ちゃんのこと忘れてた。
「今日のあの店長、あいつはただの仕事の上司って事だよな?」
リクが確認してくる。
「いや、あの、そうだったんだけど…」
ソラはしどろもどろになる。嘘は苦手である。
「私、お風呂入るから!」
「おいっ、ソラ?」
ソラは逃げた。
そして自分の行動を思い出して、恥ずかしさで叫びたくなった。




