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魔王ですが勇者を育てたので魔界に帰ります

 それに最初に気がついたのは、ブラード王国を訪れていた魔人のソフィアだった。


「あら、ベクトラム様の頭に角が見えない?それに身長も高くなっている気がするわ」


「そう言われればそうですね。記録ではベクトラム様が持っている[勇者の剣]は柱の飾りの蔦と同じ高さとありましたが、今はそれより、ずっと高いです」


 トルクが亡くなってもう130年経ち、ボーゲン侯爵家の当主は、トルクの玄孫に当たるギュストだ。

魔界から、魔人がベクトラムに会いに来る時は、ボーゲン侯爵家が宿泊や食事を任されているが、その時はソフィアとマロンが来ていた。


「ベクトラム様が復活される時も近いのかもしれないわね。皆にも伝えておくわ」


 ソフィアとマロンは、そう言って魔界に帰って行った。


 その様子を陰から見ている者がいた。

ブラード王国の宰相であるレギルトの密偵、ジムニーである。

ジムニーは、城に帰るとレギルトに報告し、レギルトは、その報告を持って国王の元に急いだ。


「陛下、英雄ベクトラムの復活が近いようです。

彼が復活したら陛下を亡き者にして、王位を乗っ取るかもしれません。一日も早くベクトラム広場ごと像を破壊しなければなりませんぞ!」


「レギルト、それは本当の話か?わしは信じられん。英雄の石像が復活するというが、どこからどう見ても石の塊だぞ」


 ベクトラムが石像の姿になって、もうすぐ200年経つ。

あの人食いスライムが王都を襲った出来事を実際に見た者は誰一人残っておらず、既に歴史上の出来事として誰も石像が本当に生きていると思っている者は少なかった。

だから国王は、あの石の塊が本当に生身の肉体に復活するのか怪しんでいたのである。


「しかし、我が国が周辺国に優位に立てられるのは、[勇者の剣]を我が国が保有しているからであります。もしベクトラムが生き返って、ベクトラムが抱えている[勇者の剣]が破壊されたり、ベクトラムが我が物にしてしまう事があれば、我が国の権威は失墜してしまうでしょう」


 以前、神殿の地下に封印されていた[勇者の剣]は、神殿長によってベクトラムの両手で掲げるように持たされていた。

剣と台座には不壊の魔法がかけられており、台座と見なされたベクトラムから幾度となく剣を奪おうとする不心得者が現れたが、いずれも失敗していたのである。


 最初はレギルトの言う事を本気にしていなかった国王だったが、[勇者の剣]の価値を聞かされているうちに、今のうちに取り戻さなければならないと思うようになっていった。


「あい、わかった。ベクトラム像の破壊を認める。

魔法師団と騎士団の団長を呼べ!」


 ついに国王はベクトラムの像を破壊して、[勇者の剣]を手に入れる事に決めたのだった。

 

 その日、王都のベクトラム広場の周辺では物々しい雰囲気に包まれていた。

工作部隊の兵士が取り囲み、魔法師団の魔術師が長い杖を構えて、ベクトラムの像を睨んでいた。


「お待ち下さい!ベクトラム像を破壊すると聞きました。なぜ王都を救った英雄の像を破壊するのですか!」


国王がベクトラムの像を破壊するつもりだと聞きつけたギュストは、慌てて広場に駆けつけた。

だが、そこにいた兵隊によって近くに寄るのを阻まれ離れるしかなかった。それならばと城に行って国王に抗議したのである。


「ボーゲン侯爵、この覚え書きには英雄ベクトラムは、身の内に人食いスライムを入れて封印したとある。

その英雄が復活する時に、また人食いスライムも復活する可能性は無いと言いきれるのか?」


「そ…それは」


ギュストも先祖のトルクから伝えられている遺言書にベクトラムの空間収納に封印された経緯が書かれており、代替わりの時に父から伝えられた。

しかし自分がその場を見ていないのだから、国王から人食いスライムの復活の可能性を問われれば、即答する事はできなかったのだ。


「せめて、事情をよく知る魔人の方々に聞いてから行われた方が良いのではないでしょうか?」


「ダメだ。魔人もグルになって、人間を滅ぼそうとしているのかもしれない。

魔人に知られる前に破壊して[勇者の剣]を取り戻さなければならないのだ」


  国王は、魔人達が作った地下施設に人々を逃してくれた事は知らないのだろか?ボーゲン侯爵家に来る魔人達は皆良い人ばかりなのにとギュストは思った。


「今のうちにベクトラム像ごと破壊すれば、ベクトラムも人食いスライムも永久に復活できないだろう。今やるしかないのだ」


 国王は、ベクトラムが人食いスライムから王都を救った事実を無かった物にして、石像はただの怪物を封印している容れ物だと言い張った。

ギュストは、これまでの魔人やベクトラムの功績を伝えて国王にやめるよう進言したが、国王の意思は固く、ベクトラムの像は破壊される事に決まってしまったのだった。

ギュストは万が一に備えて作ってあった通信魔法で魔人に緊急連絡をしたが、魔人が転移陣で駆けつけるのは事が終わった後だろう。

ギュストは、国王を止められなかった事を申し訳無く思った。


 ベクトラム広場では、最終的な国王からの許可が出た事で破壊作戦が実行されようとしていた。

王都の中心にある事を考えて、周りには結界が張られ、まず最初に魔術師が土魔法で地面を壊し、礫弾と水魔法で粉砕する事になった。

 魔術師が杖を構えて攻撃を開始した。


「ドドドドドドオオオオオゥゥゥーー!」


「ダダダダダダァァァァァァァァーン!!」


 魔術師の放った攻撃魔法は、全弾容赦なくベクトラムを襲った。

もうもうと立ち昇る砂煙に誰もがベクトラムの破壊を確信して楽観的な空気が流れていた。

しかし砂煙が薄くなってきた頃、その場所に一人の大男が立っているのが見えた。

身長は3メートルを超えようかという長身で、見るからに破壊力がありそうな全身筋肉でできた身体つき。しかも、頭の上には立派な角が生えたその男の顔は、石像だった顔と同じだった。


「私を攻撃したのは国王で合っているか?」


 地の底から聞こえるような低くて太い声に、周りにいた魔術師や騎士団の騎士達は、恐ろしさの余り何も言う事ができず、こくこくと頷く事しかできなかった。


「それならば遠慮はいらないな」


 ベクトラムはそう言うと、右手を翳した。

するとその手から光が発生して、城にある主塔に飛んで行ったのだ。


「ドッガーーーーーっん!」


そこにいた全員が振り返って見たものは、破壊されて崩れていく王城の姿だった。


「何という破壊力だ。いったい魔力がどれだけあればあのような魔法が使えるのだ」


側で見ていた魔術師達は、皆呆然として呟いた。


そこへギュストを始め、魔界から魔人達が転送陣を使い駆けつけて来た。


「ベクトラム様!」


 駆け寄った10人の魔人達は復活したベクトラムに駆け寄って喜んだ。


「皆元気だったか?実は今この国の国王から攻撃を受けてな。ちょっとだけ反撃した所だ」


「あれをちょっとだけと言うのか…」


 魔術師は自分達との格の違いを見せつけられ、騎士団は、これ以上の攻撃は危険と判断して上層部に報告する為に帰って行った。


 ベクトラム広場は、ベクトラム以外の公園としての施設が破壊され、惨憺たる姿になっていた。

魔術師や騎士団がいなくなった事で、周りにはベクトラムと魔人しかいない。

すると、ベクトラムは200年前と変わらない笑顔を見せた。


「実はな、姿は石になっていたが、意識はあったんだ。皆の声も聞こえていたんだぞ」


身体は動かせなかったが声は聞こえていたので、ミルバが毎日花を持ってベクトラムに謝罪しに来ていたのもわかっていたと言う。

ベクトラムはミルバの頭を撫でて、許しの言葉をかけてやりたかったと話した。


ふと、ベクトラムは自分の手にある剣に気がついた。

何となく鞘から剣を抜くとスッと抜けた。

 

「えっ!」


「ベクトラム様、それは[勇者の剣]ですよ。その剣に不壊の魔法がかかっているので、神殿長がベクトラム様の像が破壊されないよう像を台座にしたのです」


「あれっ、今[勇者の剣]をベクトラム様が鞘から抜いたんですよね?どういう事?」


「剣をベクトラム様が抜いたんだから、ベクトラム様が勇者という事では?」


魔人達は、以前トルクが[勇者の剣)を抜いているのを見ている。

誰一人どれだけ引っ張っても鞘から抜けなかったのに、トルクが持ったら力も入れていないのに抜けたのだ。今見たベクトラムの状態には見覚えがあった。


「じゃ、ベクトラム様が勇者なの?でもベクトラム様の指には[魔王の指輪]があるのに?」


「魔王が勇者に選ばれたってどういう事だ?」


周りにいた皆は、あり得ない事態に疑問や予想を口にしたが、これという答えは出なかった。


「でも良いんじゃない?これでもう、人間が一方的に勇者が魔界に来て魔王を倒す事はできなくなった」


 バルーダの言葉にガルーダも頷いた。


「そうだよ。ベクトラム様が亡くならない限り、[魔王の指輪]と[勇者の剣]はベクトラム様のものだ。ベクトラム様の治世は永く続くぞ!」


高い魔力を持つ魔人は、数千年生きてもおかしくない。

ベクトラムは勇者に討ち取られる心配をしないで、魔王を続けられるのだ。皆その事を大層喜んだのだった。


「そう言えばベクトラム様、異空間収納に入れた人食いスライムはどうなったのですか?」


 ソフィアが放ったその言葉に、皆ははっとして、ベクトラムを見た。

人食いスライムがまだ異空間収納で生きていたら、まだ戦いは終わっていないのだ。

ベクトラムは、異空間収納の入り口を開けて、皆に見せた。


「大丈夫だ。人食いスライムは全て浄化し終わってるよ。だが、中に何かいるような気がするんだ。

一緒に見に行ってくれないか?」


 ベクトラムの言葉に、攻撃力のあるクリスとデーブとガイが応えて、異空間収納の中に一緒に入る事になった。


「中はきれいに何も無いですね」


 人食いスライムを閉じ込めるまでは、魔人の子供達の部屋があり、たくさんの家具があったのだが、全く見当たらなかった。

4人は歩いても歩いても真っ白な広い空間を慎重に進みながら、人食いスライムがよく全部入ったものだと思っていた時、先に何かの塊が見えた。


「あれは何でしょう?」


 4人が人食いスライムの可能性を考えて、用心しながら近づいていくと、急にベクトラムが走り出した。


「ミュリア!!」


 ベクトラムがそう言って抱き起こしたのは、ベクトラムの元婚約者のミュリアだった。


「カーク!ベーテ!」


 ミュリアの身体に抱かれるようにしていたのは、ベクトラムの使い魔カークと番のベーテだ。


 ミュリアは青白い顔をしていたが、呼吸が微かに感じられた。


「生きてる!ミュリアが生きてる!ミュリア!ミュリア!しっかりしろ!」


 そう言って、見るからに魔力が欠乏しているミュリア担にベクトラムは自分の魔力を送った。

しばらく魔力を送っていると、「うっ…」と声がしてミュリアが目を開けた。


「ベクトラムさ…ま…」


「ベクトラム様、カークもベーテも息があります。

俺達も魔力を送ってみます!」


「頼む!」


 クリスとデーブとガイは慎重に魔力を送り続け、カークもベーテも身体は動かせないが、目を動かす事はできるようになった。


「メルトを呼んで来てくれるか。彼の回復魔法をかけて体力を回復させたいんだ」


 呼ばれたメルトは、ミュリア達の様子を確認したが、ここで過度な回復魔法をかけると、長期間魔力を欠乏した状態でいた身体に負担が大きいとして、落ち着いて療養できる場所に移動できるだけの回復魔法に止めるべきだと判断した。

 そしてミュリアとカークとベーテは、メルトの回復魔法で移動するだけの体力を回復をした後、ボーゲン侯爵家に運ばれたのだった。


「どうして200年の間、ここで消滅する事もなく過ごしていたんだろうか?」


 ベクトラムは、異空間収納の中を見渡して呟いた。

するとマロンが、「ベクトラム様、これを見て下さい」とミュリア達が倒れていた場所に落ちていた皮袋を持って来た。

 ベクトラムが中を開けてみると、小さな角の破片があった。

「これは?」と破片を持つと、自分と同じ魔力を感じた。

その角の破片は、魔界を追放された時に切り落とされたベクトラムの角だったのだ。

 ベクトラムの魔力の源である角は、膨大な魔力を内包していた。

ミュリアはベクトラムの角を肌身離さず持っていたのだろう。

召喚陣に魔力を奪われて、立派だった角は、もう小さな欠片しか残っていなかった。

ベクトラムの角の魔力を使って、ミュリアとカークとベーテはギリギリの所で生き残る事ができたのだ。

 ベクトラムは、角を切られた時の事を思い出したが、不思議と辛い思いが消え、あれでミュリア達が助かったなら切られて良かったんだと思ったのだった。


 そしてミュリア達は、ボーゲン侯爵邸で1ヶ月の療養を経て、ようやく完全に意識が回復した。

石化が解けたばかりのベクトラムも、生身の身体を取り戻して魔力が全身に巡るようになったので、角が更に伸びていた。


 元気を取り戻したベクトラム達だったが、王国からは何も音沙汰が無く不気味に感じる程だった。

そこで、ベクトラムはミュリアを含めた魔人達に、この先どうしたいか希望を聞いた。


「俺は、王城にいる国王を懲らしめるべきだと思います。王族だったヘプカバルド王子のせいで、ベクトラム様は200年もの間石にされたのです。許せません」とガルーダは言った。


「私も王国の責任を追求するべきだと思います。でも、攻撃して痛めつけるのは反対です。やられたからやり返していたら憎しみは増すばかりで、魔界と人間界は戦いに明け暮れる事になります」

ソフィアはそう言って皆を諫めた。


「そうだな。ソフィアの言う通りだ。ヘプカバルド王子や悪行を止めなかった国王は、もう200年前に死んでいる。当事者でも無い者に怒りをぶつけるのはおかしい」


「ベクトラム様は、[勇者の剣]をどうするのですか?」


 そこへギュストが、神殿長からトルクに預かった手紙だと紙を持って来た。

手紙を読んだベクトラムは、ニヤリと笑って言った。


「明日、皆で国王に挨拶に行こうか。魔界と人間界に新しい関係を結ぶ為にやっておかなければならない事があるようだ」


 次の日、ベクトラムと魔人達は王城へ赴いた。

ベクトラムが面会の使者を送っていた為、門は開いていたが、両端には騎士団が武器を構え、いつでも戦えるよう用意している。

その中をベクトラム達は緊張もせず悠然としたタイドで進み、国王との謁見に臨んだ。

謁見の間には重臣が集まって、石像から復活したベクトラムを珍獣でも見るような目で見つめていた。


「ベクトラム殿、先日は勇足をした者達が、貴殿に攻撃を加えてしまい申し訳なかった」


 国王は、話し合いの場に着くなり謝罪という名の責任転嫁をし始めた。

ベクトラムは呆れたが、話を進めたかったので謝罪を受け入れた。


「良いでしょう。石化していた私に対する攻撃については不問にする事にします」


 国王は喜び、ベクトラムをブラード王国の貴族として召し抱えようと言い出した。

貴族位と領地を与えれば、[勇者の剣]を持った魔族を自分達で制御できると思ったに違いない。


 そこでベクトラムは[勇者の剣]を取り出して剣を抜いた。

そして自分の指にはまっている[魔王の指輪]を高く掲げた。


「国王殿、この指輪をご存知か?これは魔王になった者が持つ[魔王の指輪]だ」


ベクトラムの言葉に、国王や重臣の者達は驚きの声をあげた。


「では、其方は魔王だと言うのか!そして魔王でありながら[勇者の剣]に選ばれたと言うのか!」


「そうだ、私は魔王でありながら勇者なのだ」とベクトラムは1枚の紙を取り出した。


「ここに200年前に、石化した私に[勇者の剣]を持たせてくれた神殿長からの手紙がある。

それによると、この国では民衆が国王の治世に不満が溜めて暴動が起きる頃になると、[勇者の剣]を使って勇者を選び、魔王を倒しに行っていたと書いてある」


「そっ…それは…」国王は焦って青ざめた。


「そうして勇者が魔王を討伐する様子を芝居や歌にして民衆に娯楽として与え、民衆の不満を逸らしていた。自らの失政をそうやって誤魔化してきたのだな」


 周りにいた重臣達は初めて聞いた王家と勇者の関係に言葉を失ってベクトラムの言葉を聞いていた。


「しかし我が父魔王は、人間界に攻め入る事無く、良政をしき魔界の人々に信任されていたのに、ある日突然勇者によって討たれて魔界は大混乱に陥れられたのだ」


 ベクトラムは、そう言って剣の先を国王に向けた。


「これ以上、人間が魔界に手を出す事は私は許さない!今後一切魔界に勇者を送れないよう、この剣はこの世界から消す事にする!」


「待ってくれ!」


焦った国王が玉座から転がり落ちるように止めようとベクトラムの元へ駆け寄ったが、自分の豪奢な衣装に足がもつれて転んだ。

ベクトラムは、皆に説明をするように[勇者の剣]に[魔王の指輪]を見せた。


「皆が知っているように[勇者の剣)には、不壊の魔法がかかっている。しかし壊せない剣にも弱点がある」


ベクトラムが剣に指輪を重ねると、剣から恐ろしい勢いで魔力が流れて行くのが見えた。


「魔王の指輪は、魔力を大量に消費するのだ。だからこの指輪を持つ魔王は、魔界で一番魔力を持つ者が選ばれる」


そう言っているうちに、[勇者の剣]はどんどん魔力を吸収されて、姿を失ってしまった。


「[勇者の剣]が消えた…」


周りにいた重臣達から驚きの声があがった。


「以上だ。もうこれからおまえ達がいくら失政をして民衆に不満が溜まろと、もう魔王を討伐して民衆の目を欺く方法をとる事はできない!自分のやった後始末は自分達でつけるんだな!」


  ベクトラムは、そう言い捨てると、魔人達を連れて城を去った。


「ベクトラム様は優しいですね。本当なら城を全壊させる事も簡単にできるのに、塔を一つ壊しただけで済ますんですから」


 バルーダとガルーダが、首をすくめて言った。


「そうか?俺は一番あいつらには辛い道だけ残したつもりなんだがな。まあ、これから自分で頑張れば良いだけだからな。やっぱり俺って優しいな」


「さあ、ベクトラム様、魔界に帰りましょう。魔王城に巣食っていたザスティス達は私達が綺麗に追い出しておきました。貴方様の魔王復帰を邪魔する者はおりません。永久に」


「そうだな。魔界に帰ろう。皆一緒にな」






 魔界暦1万8000年、第二期魔王ベクトラムの治世は、2000年近く続いた。

彼の周りには、いつも人が溢れ、笑顔が絶えなかったと言う。


                 おしまい












無人島に本を1冊だけ持って行けると言われたら皆さんどんな本を持って行きますか?

私は迷わず魔王様が主役の本を選びます。それくらい魔王様キャラが好きです。

悪の象徴として、勇者に一方的にやられる話が多い魔王様ですが、中にはお人よしで仲間思いの魔王様がいても良いよねと今回書いてみました。いかがでしたでしょうか?

 

 4月に始まったこの物語もこれで完結になります。

一人で新しい環境に身を置かれた時の心細さから、仲間を増やして居場所を作っていく様子が書きたかった

のですが、もっとわかりやすくできたよねと後になって技量不足を痛感しました。これから更に精進しようと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。


それでは今年は酷暑の夏になりそうです。皆様くれぐれもご自愛ください。

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