表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/223

   5/5

 何かを思いついたらしいシブキは、ズボンのポケットに手を入れ、その中から名刺ケースを取り出す。ケースから一枚、名刺と思わしき紙を引き抜き、由紀に渡した。


「これは……」

「もしまた、異形を見つけたらここに頼りな。力になってくれる。まあ、遭遇しねぇのが一番だが」


 由紀が見ると、紙には『龍使協会日本支部』という文字列と、電話番号、住所が載せられていた。渡した当人の名前は書かれていない。


 住所の欄には、由紀もときどき訪れる、李渦町からそう遠くない市の名前があった。しかし、龍使協会などという不可思議な単語は見たことがない。これが何なのか、由紀にはさっぱり見当がつかなかった。


「シブキさん、あなたは……」

「俺は一体何者か、って? そうさなぁ……」


 シブキの口角が緩く三日月を描く。からかっているようなその笑みは、どこか人間味の足りない色をしていた。


「ただの水龍、だよ」

「……おい、お前無用心に」

「まあいいだろって、たまには。…………じゃあな、由紀!」


 謎めいた言葉を残して、シブキと勇輝は背を向ける。やがてその後姿が見えなくなっても、由紀はその場に呆然と立ち続けていた。


「…………りゅうま、しぶき……」


 今一度、恩人の名を繰り返す。何か異彩を放つあの二人は、一体何者なのだろうか。彼はどうして自分を救ってくれたのか。色々と疑問は尽きないが、由紀が辿り着いた結論はずばり。


「かっこいい人だった!」


……単純明快。きらきら輝く彼女の瞳には、すでに桃色の花が咲いている。恋は盲目、それは彼女も例外ではなく。


 かくして少女・田村由紀は、水龍・シブキとその相棒・勇輝の物語へと、足を踏み入れてゆくのであった。

読んでくださりありがとうございます!

お楽しみ頂けましたら評価・ブクマ・感想など頂けますと励みになります。

それでは、引き続き本作の世界をお楽しみください!


南河天狼

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ