招かれざる客
昼食を終え、みんなでトイレを済ませて昼のテニスをやろうとした矢先に、招かれざる客が俺の前に立っていた。
奴の名は白金 木実。
今となっては大体半年前に嘘告白をした本人で、振られる際に罰ゲームだからと言ったのを忘れない。 というか忘れる事ができない。
その当時の様子を見た和人も、白金の存在には不快感を抱いているから、表情も歪んでいる。
「で、今さら何の用だ? そもそも、お前もあの元糞母娘とつるんで、妊婦殴って逮捕されたんじゃないのか?」
「両親が弁護士を通じて身元引受人になってくれたのよ。 あの母娘は駄目だったけどね」
白金の両親が身元引受人になったのか。
なのに何でこの女が俺に近づくのを看過したんだ?
引受人になった以上、この女を監視しないと駄目だろうに……。
「それで、一度振ったあなたがなぜここに来たのです?」
柚希ちゃんも白金に不快感を抱きつつも、ここに来た理由を尋ねた。
だが、奴に答えを言う前に、先に言っておく事にしようか。 大体の解答は予測できるしな。
「悪いが、寄りを戻す為に来たのなら、それは断らせて貰うぞ」
「な……!?」
反応からしてやはりそうだったか。
都合のいい事だけしか考えてない女ならやりそうだ。
「分かりやすい反応だったなぁ。 俺もあの時の様子、見ていたんだからな。 しかも、あの母娘の差し金だったらしいじゃねぇか」
「あ、あんた、あの様子を見てたの!?」
「そうさ、偶然にだがな」
「それにな、今の俺には新しい彼女がいるんだよ。 俺の隣にな」
「隣……?」
食ってかかる和人の背後から、俺が新しい彼女がいるとカミングアウトする。
それを聞いて、恐る恐る俺の隣にいる柚希ちゃんを見る。
「まさか……!?」
「そうなのです。 私が今の真人お兄ちゃんの彼女なのです」
「うそっ!? 中学生があの男の彼女……!?」
まぁ、驚くわな。
柚希ちゃんは静香と同じく中学2年だからな。 信じられないだろうな。
「中学生だろうが、そうでなかろうが少なくともお前よりは信頼できる彼女だよ」
「むぐぐ……!」
もうここまで来ると、三下のような感じになってきているな。 いい気味だよ。
「信じられない! 中学生の彼女なんて!! 折角、過去の事を水に流してあげようと思ったのに!!」
ヒステリックに激怒する白金だが、最早この女には興味はないし、これ以上関わりあいたくはないな。
「これ以上、真人お兄ちゃんを蔑もうものなら、楠家の力を行使してでもあなたを社会的に潰しますよ?」
「ひぃっ!?」
俺が口に出すより先に、静かにキレた柚希ちゃんの威圧感に、白金は尻餅をついて恐怖に震えた。
「さて、もう帰りましょうか。 招かれざる客のせいで興が削がれましたから」
「そうだな、帰ろう」
尻もちをついたまま、恐怖に怯えたままの白金を放置して、俺達は予定を切り上げて帰ることにした。
「そうそう。一つ言い忘れましたが……、過去の事を水に流すというのはやられた側が言うセリフなのです」
柚希ちゃんが白金に背を向けたまま、そう吐き捨てて俺達の元に合流した。
これで、奴が俺に近づくことはないと思いたいな。
「お金は親父が払ってくれたみたいだし、後の時間は楠家にある一面だけのテニスコートで汗を流すか?」
「そうしよう」
「順番待ちになるけど、しょうがないよね」
和人や静香がそう言いながら、車に乗って楠家へ向かい、そこで残りの時間のテニスを楽しんだ。
なお、轟姉妹曰く、柚希ちゃんに睨まれて恐怖で尻餅をついた白金は、直後に失禁していたらしいが、まぁ、どうでもいい話だ。
よろしければ、評価(【★★★★★】のところ)か、ブックマークをお願いします。
モチベ維持につながるので…。
更新は現在不定期ですが、今後もよろしくお願いします。




