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錦上の花束をあなたに  作者: 保科朱里
【播種】
4/21

1-3

 夕飯の後、洗い物を手伝ってカジュは自室に戻った。

 初めて皿洗いをしたが、お皿が石鹸でつるつると滑ってしまい、結局ロメリアに手伝ってもらった。


(これは、手伝いになってないわ……むしろロメリア様に私の手伝いをさせてしまっている)


 皿洗いもろくにできない自分に落ち込みながら、カジュはベッドに腰かけてプリムラ学園の入試要項を確認する。


「入試申し込みは直接学園に行くとして…受験に必要な教科は数学、理科、言語、魔法学、魔法実技の5科目ね。どれも難しいと思うけれど、特に魔法実技が厄介かも」


 魔法実技では、基礎魔力の強さを数値化した値が得点に換算されると書いてある。つまり魔法を使う技術ではなく、体内にある魔法の量を試されるのである。

 カジュは魔法を繊細に扱う術はすでに学院レベルに達していたが、生まれつきの魔法の量はそれほどではなかった。


「鍛えれば魔法量も増えると聞いたことがあるけど、試したことがないのよね……独学でどうにかなるものなのかしら」


 本屋に行けば参考書や試験問題集が売っているかもしれない。カジュは本屋の場所をフォンで調べると明日出かけてみることにした。


「入試までは1ヶ月か……1ヶ月もここに留まるつもりはなかったのだけど…………」


 もし1ヶ月で合格できても特待生枠でなければ職探しをしなければならない。それに、1ヶ月以上も宿泊するとなると宿泊料金がそれなりにかかってくる。


「明日……まずは本屋に寄って試験問題を見てから入試を受けるか決めよう。無理そうだったら職を探さなきゃ……」


 そう呟きながらプリムラ学園の紹介を読んでいると行事の欄で手が止まる。


「舞踏会のマナー練習に模擬舞踏会……」


 貴族であれば15歳から徐々に国王陛下への謁見をすませ舞踏会デビューを果たすため、礼儀作法は各家庭で専属教師を付けて幼い頃から練習を繰り返す。

 しかし、貴族でなければその習慣はないため、プリムラ学園では行事として作法の練習も行っていた。


「こんな授業もあるのね……入学するなら何も知らないふりをしなきゃかしら。

いや、これは入学することになったら考えましょう。まずは受験するかどうかよ……」


 カジュは肩下まで伸びた髪を後ろにずらしながら明日の予定を頭に浮かべる。


(まずは本屋に行って入試問題集と参考書を探して、それから受験するなら入試の申し込みにいかなきゃ)


 とりあえずの明日の予定が決まったカジュは眠る準備に入った。先ほどの仮眠では長旅の疲れは拭えていない。

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