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錦上の花束をあなたに  作者: 保科朱里
【播種】
15/21

1-14

「いい天気だ……洗濯日和になりそうだよ」


 合格発表の日、カジュが一階に降りると、ロメリアは窓の外をまぶしそうに見つめながら言った。


「ええ、本当に。綺麗な朝焼けです。

 お洗濯、捗りそうですね」


 朝日が昇る東の空にはうっすらと雲がかかっていて、空は青と薄橙のグラデーションを造っていた。


「シーツを洗ってしまいましょうか」


 焦って待っていても結果は変わらない。カジュはいつもと変わらない口調で尋ねた。


「……ああ、そうだね。丁度いいからカーテンも洗ってしまおうかね。大仕事になるよ!」


 少し微笑んだ後、ロメリアは楽しそうに言う。

 いつもと変わらないように過ごしたいという思いは二人とも同じようだった。


 それから目玉焼きとパンとフルーツヨーグルトの朝食を食べて、宿中のカーテンとカジュの部屋のシーツを洗濯にかかった。

 手にいっぱいの布を持っているので階段を昇り降りするだけで一苦労である。


「これだけあると、手分けして洗うのがよさそうだね」


 小さな庭にはカーテンとシーツが山盛りになっている。

 確かに手分けして洗ったほうが早そうだ。


「そうですね…私、水汲んできます」


 魔法で水を出す方法もあったが、水属性魔法を使ったことがないカジュは水を汲むために歩き出した。

 入試では単純な魔力量のみが問われたため、気属性以外の魔法練習はしていない。


「いや、魔法を使ってやってみようじゃないか!」


 カジュをロメリアが呼び止める。


「私がですか? 

 水魔法は使ったことがないので水を出せるかどうか……」


 カジュは足を止めて振り返ると、不安げな顔をした。


「教えただろ? 

 属性が違うからと言って水魔法が使えないわけじゃない。魔法が上手い人になればなるほど、どの属性魔法でも使えるものさ」


 ロメリアはそう言うと、くるんと人差し指で円を描く。

 すると、その円に沿って水の輪が空中に現れた。現れた水の円を、ぽんと押すと布の上にぱしゃっと音を立てて洗濯物にしみ込む。


「洗濯自体も魔法でできちまうんだけどね。

 洗濯をしようと思ったら気と水の複合魔法になるからカジュにはまだ早い。まずは水を出すとこからだ」


 腰に手を当て微笑んでいるロメリアはすっかり教師モードである。


「やってみます……!」


 カジュは右腕をまっすぐ洗濯物に向けると目を閉じて指先に集中する。そして気属性の魔法を使うときと同じように、体中から肩、そして指先へと魔力を移していった。


「肺に息を集めるのと同じ感覚なんだ、力みすぎるんじゃないよ。あとは手から水が出るイメージを強く持ちな」


 カジュは目をつむってロメリアの声を聞きながら、指から水が出るところを想像する。


(水……冷たくて透き通ってて綺麗な…………川を流れるように手を伝って……)


 ばしゃっ


 水のイメージが肩から指先まで伝ったその時だった。大きな音を立ててカジュの手のひらから大量の水が勢いよく噴き出した。


「きゃっ」


 水の勢いに押され、カジュは後ろによろめく。

 水は少し弧を描くと庭先にいる人物の足元に勢いよくかかった。


「おお、できるじゃないか! ちょっと大量だったけど成功さね!」


 横で見ていたロメリアは満足そうに笑った。庭の草にかかった水は水滴となって日差しを反射している。

眠るまでが今日です。(更新遅くなりました)

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