わしは『魔王』職業は魔法使いです
わしと彼女(彼?)は海から砂浜まで引き上げてきた。
しかしわしの片メカクレキャラとスク水と浮き輪の親和性よ。
他にこのゲームにこんな美少女おる?
いや、いない。
とはいえ彼女のキャラはわしのキャラと外見年齢は同じぐらいに見えるが、スタイルが良く白いビキニが良く似合っておる。キャラクリの腕はわしと互角――しかもこやつ、人気女性声優の声帯模写をした状態のわしと同等レベルの声をしておるし、仮にネカマだとしてもわしと競えるレベルの実力者だと認めざるを得ないだろう。
「あ、あの、ありがとうございます」
くくく、魔王であるわしを助けるとは愚かな奴よ! 本当は溺れてないけど。
「いや、私が勝手に助けに行っただけだから、気にしないで」
出た! 主人公特有のセリフ!
「自己紹介がまだでしたね。わしは『魔王』職業は魔法使いです」
しまった! つい癖でわしと言ってしまった! どんなキャラだよっ!
「『魔王』さんね。私は『光』職業は勇者です」
ど、動じてないっ! どんなメンタルだよっ!
しかし勇者か、勇者と言うと聞こえは良いが、勇者は器用貧乏で勇者専用スキルもあるが魔法、物理攻撃、回復等は専門職ほどではないので、ステータスの極振りをしたいプレイヤーが一定数いる、ネトゲというジャンルとは相性が良いとは言えず、正直、微妙な職業である。
しかし勇者か、わしの征服した世界にも職業としての勇者はおったが、勇者はおらんかったな。
「魔王さんはギルドに入っているんですか?」
「わしはあんまりギルドとか興味なくてな」
またわしって言っちゃったよ! 光もまったく動じてないしもうわしで通すか。
つーかわしは現実で魔王じゃし、ゲームでもギルドとかはちょっとのう。
「私も始めたばっかりで、今のところギルドに入ろうとは思っていないので、良かったら私と一緒にパーティを組みませんか?」
そうじゃなぁ。パーティぐらいじゃったらまあええか。
「はい、それなら、よろしくお願いします」
ポップアップが出て光からパーティへの招待が送られてきた。はいをクリックすると、パーティ欄の光の下にわしの名前やHP等が表示される。
まさか本物の勇者とパーティを組む日が来るとはな。