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わかった光、待ち合わせをしよう――今から行く

 夜になり光、夏、苺も『最後の楽園』にインしたんじゃが、わしの様子に違和感を覚えた光が今日はわしと二人で行動することにして、今はクロに乗って光と初めて会ったマップ『マリン』の上を飛んでおるのじゃが――。


「何かあったの?」

 無言のまま光と二人で、メイド服姿でクロに乗って飛んでおったが、光の方から切り出してきた。


「わしは光のことが好きなんじゃ」

「そうだね。知ってる」

 わしがネカマなことだけじゃなくて、それまでバレておるのか――。

 ならもう良いか。


「明日のアプデでプレイヤーが人間以外のキャラを作れるようになるじゃろ? まあそれ自体は別に良いんじゃ。だけどわしはリアル魔王じゃから、いつかは人間界を征服するし、わしは人間をほかの種族に変えたりできるリアルキャラクリとかも可能じゃから、わしが人間界を征服した時、リアル光がまっとうな道を外れて人間をやめることを選択するのか、それともわしから見たら短命の種族の人間として、まっとうな寿命で死ぬのを望むのか、考えだしたら怖くなったんじゃ」


「そかそかなるほどね。良いよ――リアル光は今すぐ人間をやめる」

 わしが予想していた光の答えとまったく違い、胸がざわつく――。

「なぜじゃ? 人間はこういう時、相対的に短命な種族として、最後まで人間として生きて死ぬことを望むのが一般的な回答じゃろ?」


「一般的にはそうかもね。でもどのみち、私の体はもうダメで、でもそれでも私はまだみんなと『最後の楽園』に居たいんだ」

「……リアル光は病気なのか?」


「んー病気とは少し違うかな。私の家系は代々聖なる力を持っていて、それは人間の器では大きすぎる力だからみんな短命なんだけど、昔は人間界に魔のものがたくさんいたから、魔のものを払ってそれでそれなりに裕福な生活ができてたらしいんだけど、今は人間界にいる魔のものが減ったことによって、同業者同士の争いが激化して、聖なる力に耐えられるレベルの一部の優秀な器の退魔の家系が、魔のものを払うのを独占してしまっている状態で、今では私の一族はただの聖なる力を持った短命な人なんだ。だからみんなみんな狂ってしまった――」


 なんてことじゃ……単に牛丼屋のバイトが辛かったというわけではなく、これが光の闇の正体――。

 光が職業に勇者を選んでおったのは、せめてゲームでは勇者でありたかったからか。

 光は『マリン』で溺れてるわしを助けに来た(実際には溺れてなかったんじゃが)。

 今度はわしが光を救わねば。


「わかった光、待ち合わせをしよう――今から行く」

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