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あっ……これ絶対わかってないやつじゃ

 雷竜との対戦エリアの境界線のさくを越え、わしらとすれ違ったパーティがおったが、かなり意気消沈しておった。


 普通のMMORPGのボス戦の野良募集のやり方として、よくあるのが募集文に『見学』や『体験』などを入れて、負けた際の保険をかける方法じゃが、これはMMORPGだから一定の効果があるものである。

 生の感情がモロに出るVRMMOにおいて、ボス戦で敗北した場合に素の感情を隠すのは中々に難しいものじゃ。


「なんだお前ら、おとなしくなっちゃって、負けたパーティ見てビビってんの?」

「いや、冥それ思いっきり負けフラグじゃろ?」

「冥ちゃんは元気良いね、今度うちの牛丼屋においでよ」

「牛丼オフっすか? 俺も行って良いっすか?」

「苺も行きます」

「わしも行くぞ」

「じゃあボクも」

 うーむ『魔王軍』でのオフ会か、一応わし姿を変えられるんじゃが、普段からゲーム内のわしの姿に変身して、自然に女として不自然じゃないよう、練習をしなければならんのう。


 わしらがオフ会のことについてしゃべりながら歩いていると、ついに雷竜がいる場所に着いた。

 なんか特別なフィールドにいる感じじゃなくて、普通に草原にいる感じなんじゃな。

 まあさくがあって、普通に狩りをする一般プレイヤーに対しての配慮はあったが。


 しかし雷竜――VRMMOのボスだけあってデカさがダイレクトに伝わってくるのう。

 邪悪な魔王でなくても、これは血湧き肉躍るわい。


「いくぞお前ら!」

「嬢ちゃん気合入ってんねぇ!」

「冬虫夏草のエンチャントは火属性のままで行くわ!」

「ボクは職の役割的に、ボス戦は固定砲台みたいなものなので、ある程度下がって『全体攻撃スキル 矢の豪雨』を使い続けますね!」


 弓兵は攻撃一発あたりの威力が低く、手数が前提の職なので、基本的にステータスは素早さの極振り一択で、PvPでは弱い職なんじゃが、敵が回避しないPvEというコンテンツとはすこぶる相性が良く、特に的がデカいボス戦は弓兵が最も輝ける場所であるんじゃ。


「別パーティのわしと苺は、矢の豪雨の巻き添えを食らわぬよう、釘の少し後ろで援護するの」

「みんな死んでも無限に生き返すからね!」

「苺、それは普通のMMORPGなら正しいんじゃけど、VRMMOで装備ぶっ壊れて生き返ってもすぐ死ぬ状態を続けると、さっきすれ違ったパーティみたいに、プレイヤーのメンタルがぶっ壊れるから、状況見てほどほどにのう」

「はーい!」

 あっ……これ絶対わかってないやつじゃ。みんなあんまり死ぬなよ? 苺に不死の苦しみを味わわせられるぞ。

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