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物理攻撃の専門職の戦士をなめるなよっ!

「夏、あやつは勇者。ステータスポイントは勇者の性質上均等に振っておるじゃろう」

「ああ、俺たちよりレベルが上といっても、どのステータスも均等に振らないとならねぇから、どれもそこそこのはず」

「じゃが、それゆえあやつの方が、わしらより素早さが上であることが確実なのがやっかいじゃな」

「俺が嬢ちゃんの攻撃を止めてる間に、ねーちゃんが例の即死技を決めるしかねぇな」

「じゃな。あと一つ気になることがある。ポップアップであやつの装備を見ても、あやつがまだ武器を出しておらんことじゃ」

「それは俺も思った。どういうことだ? ハッタリじゃなければ嬢ちゃんの武器は魔剣だろ?」


「魔剣は極端な話、同じ行動を取れば同じ魔剣ができる可能性がある。まあ実際は細かい行動の違いで、魔剣が形作かたちづくられていくわけじゃから、同じ魔剣など存在せぬが。しかしじゃ、魔剣というカテゴリーの武器はゲーム内に所有者が何人もいる。わしの鎌よりは武器のレアさで魔剣は下じゃから、魔剣にはPvP限定の即死技は与えられてないじゃろうが、恐らくあやつの魔剣は試合が始まるギリギリまで、相手に見せない方が良い要素があるってことじゃ、それが何かまではわからぬが、普通の武器でないことは間違いないじゃろう」

「だな。油断はできねぇ」


「話がなげぇんだよっ!」

 すぐさま試合を始めないわしらに向かって、しびれを切らしたあやつが走ってきた。予想通りわしと夏より動きが速い。

 もう夏は目の前じゃぞ? まだ武器を出さんのか?

「死ねぇっ!」

「は!?」


 夏が斬られたが、まだあやつは武器を出しておらぬように見え……いや、今までと違い、透明な何かをあやつが握っておるっ!


「夏っ!! あやつの魔剣は、おそらくあやつにしか見えぬ武器じゃ!」

「おいおいマジかよっ!」

「あたしの攻撃じゃ、一撃で仕留められないとはいえ、にーちゃんが大剣で止められなきゃ、時間の問題だなっ!」

「ぐわっ!」

 まずいこのままでは夏が持たぬ……しかしわしが今出て行っても、あやつの攻撃を夏が大剣で完全に止めてる間じゃないと、わしの即死攻撃をあてるのは無理じゃ。


「これでとどめだっ!」

「物理攻撃の専門職の戦士をなめるなよっ! 防御スキル 心の目」

 夏が目を閉じ、夏が大剣であやつの魔剣を受け止めたっ! あやつの動きが完全に止まっておる!

「ちっ、マジかよっ!」

「ねーちゃん今だ!」

「なめやがってっ! あたしよりレベルがはるかに下の女に何ができんだよっ!」

「PvP専用魔法 デス

 黒い炎をまとった鈍色の鎌が、あやつの豪華な鎧の上から胴体に触れると、あやつが糸が切れたようにあっさり倒れた。


 生き返ったあやつが、何が起きたのかわからないという顔をしておる。

「悪いのう。これPvPでしか使えないんじゃが、触れたら即死なんじゃよ」

「は? なんだよそれっ! クソっ『魔王軍』に入れば良いんだろっ!!」

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