そこのハーレムのにーちゃんにPvPを申し込む!
わしらは雷バッタでレベル上げをし、魔王レベル56、光レベル53、夏レベル75、苺レベル60になり、ついに雷竜を倒しに『イカズチ』のマップの奥に進んでいるところじゃ。ちなみにレベル上げ中にわしは雷系の魔法を一つ覚えたのじゃ。
「一番レベルが高い夏から見てこのパーティどうなんじゃ? ボスに勝てそうかの?」
「ヒーラーもいるし俺たち自体のレベルは低くないけど、ボスだからなぁ正直なんとも言えねぇ」
「大丈夫、苺が無限に生き返します!」
苺はサイコパスかの?
「一番レベルが下の私が言うのもアレだけど、苺ちゃんが死ぬって発想はないのね」
「みんなが護ってくれるので苺は死にません!」
「そ、それはそれでプレッシャーじゃの」
まあ僧侶じゃとスタミナ極振りが一般的じゃし、実際苺がうちのパーティでHPがダントツに多いから、一番死ににくいんじゃが、ボスは異常な攻撃力が設定されてる可能性があるから、苺でも即死は普通にあり得るんじゃよね。
「そこのハーレムのにーちゃんにPvPを申し込む!」
唐突にわしらの前の草原に、豪華な鎧を着た勇者の女が立ちふさがった。
「なんだ嬢ちゃん? このメンバーを集めたのは別に俺じゃないんだけど?」
「な、なにぃっ!? どいつがボスだ?」
夏がわしの肩をポンと叩く。
「わ、わしっ!?」
「なんだ弱そうな女だなー。あたしレベル100で魔剣もあるんだけど? にーちゃんと二対一で良いよ。あたしが勝ったらにーちゃんはあたしがこれから作るギルドのメンバーになる。にーちゃん側が勝ったら、あたしのこのゲームの譲渡可能な財産をすべて渡して、あたしは引退する。悪い条件じゃないと思うけど?」
「タイム! 嬢ちゃんちょっと相談する時間をくれっ!」
「良いだろう」
「何かいきなりわけわかんねぇことに巻き込まれちまってるけど、みんなどうするっ!?」
「私は魔王と夏の判断に任せるわ」
「苺は後からこのパーティに入った身なので、魔王さんと夏さんに判断はお任せします」
「ねーちゃんは?」
「夏、あやつの言う条件何か違和感を覚えぬか? あやつにとってこのゲームは文字通り『最後の楽園』なのじゃろう」
「なるほどねーちゃん、嬢ちゃんがこの勝負をふっかけたのには何か事情があるってことか?」
「そうじゃな。そしてわしはあやつの事情が何なのかおおよその見当はついておる。なのでわしとしてはこっちが勝った時の条件を変更したいんじゃが」
わしはみんなに変更後の条件を告げた。特に反対はなかった。
「待たせたな。おぬしが勝った時の条件は夏が構わないと言うのでそれで良いが、おぬしが負けた時の条件を変更させてもらう」
「なんだ言ってみろ?」
「光が虚空に向けて接客してたことや、このパーティでレベル上げをしたりが楽しかったりで、わしの中でこのゲームに対する考えが少し変わってきていたんじゃ。じゃがおぬしが無茶苦茶な条件をふっかけるまで、それを口にする勇気がわしには足りておらんかった。正直おぬしには感謝しておる」
「なんだ? 回りくどいぞ?」
「そうじゃな結論を言おう。わしと夏がおぬしとの戦いに勝ったらこのパーティのメンバーでギルド『魔王軍』を作る。おぬしがわしと夏に負けたら『魔王軍』に入れ」
やつが怒りで打ち震えておる。
「なめやがって、上等だ良いだろうっ!」




