お待ちのお客様、雷バッタ定食です
「水系魔法 泡爆弾!」
雷バッタが次々とシャボン玉の爆発に巻き込まれて粉々になっていく、正直めっちゃキモいんじゃ。
雷属性の敵に水属性の攻撃は属性相性的には可も不可も無いんじゃが、まあ水耐性があるカニでもレベル差があれば水属性の攻撃が通用するし、可も不可もない属性相性なら特に問題はないな。
羽はトラ柄のビキニとのデザイン相性が悪すぎて、非表示にしておるとはいえ、せっかく『翼の指輪』を装備しておるし、本当は空から攻撃したいところなんじゃが、さすがに雷が落ちるマップだと自殺行為じゃし、飛ぶわけにはイカンのう。
「おわっ!?」
夏が雷バッタの雷を食らった。
両手剣の戦士の夏はスタミナにも結構ステータスポイントを振っておる構成じゃろうから、そこそこHP自体の総量はあるが、盾無しの防御力じゃからまあまあHPが減るの。
「苺の出番ですね」
苺が注射器をピストンすると、夏に黄金のキラキラしたエフェクトがかかり、夏のHPが全快になる。
「苺ちゃんありがとう、じゃんじゃん回復頼むぜ!」
「はい! 回復は苺に任せてくださいっ!」
何かこいつら良い感じじゃな。
さて光は何しとるのかの?
「お待たせいたしました。お待ちのお客様、雷バッタ定食です。こちら雷バッタが大変熱くなっていますのでお気を付けください。今の時間は雷バッタのおかわり無料となっておりますので、お気軽にお申し付けください」
うわぁ光が虚空に明るい声と笑顔で接客しておる! 光、牛丼屋のバイト辛いんか……なんか光の闇を見てしまった気がするんじゃ。
こういうタイプがある日、遺書もなく唐突に線路にフラッっと吸い込まれるんじゃな。
わし個人としては最高に好みなんじゃが、光本人は不幸じゃし、やはり人間界もさっさとわしが征服するべきかもしれんのう。
まあ、それはそれとして、光が冬虫夏草に火属性の魔法をエンチャントしておるのは、雷バッタは虫属性もあるからか。虫属性は火が通りやすいが、わしは雷属性ばかりに注目しておったわい。よく気がついたの。
しかし水属性をエンチャントしたときも、冬虫夏草の顔の蠢きが溺れているようでアレな感じじゃったが、火属性をエンチャントしたときの冬虫夏草の顔の蠢きも全身を焼かれ苦しんでいるようで地獄じゃのう――勇者とは一体。
何か光の方がわしより魔王適正あるかもしれんのう? わしちょっと魔王として自信なくなってきたんじゃが?
ま、まあ光はちょっと精神的に危ういところがあるから、上に立ったらそれはそれでヤバいか。




