【僧侶専用ナースセット】
次の日、わしがインすると光と夏から個人チャットが来たので、一緒に『イカズチ』にボスである雷竜を倒しに行くことになった。
今は『ゼロ』の噴水で自己紹介をしようっちゅう流れじゃな。
「うぃっす! 初めまして夏です。戦士やってます!」
「初めまして夏さん光です。勇者ですよろしくね!」
「知っての通り魔王じゃ。魔法使いじゃ」
夏が光の冬虫夏草を見て見ぬふりをしておる。まあそうなるわな。
「そういえばねーちゃん、結局なんで雷竜にしたんだ? 電気って絶縁体装備に弱いイメージがあるんだけど?」
「地理的に『イカズチ』は『アチチ』のとなりでめんどくさくないし、かっこいいからに決まっておるじゃろ? ちなみに電気なら夏の言っておる通りじゃが、絶縁体装備で雷が防げると思っとったら死ぬぞ?」
「魔王がすごい悪い顔してる!」
おっとイカン邪悪な魔王成分が漏れておるな。話題を変えるか。
「ちゅうことで今回の服は雷耐性が必要じゃから、トラ柄のビキニじゃ」
「いやーさすがに男用の服はトランクスタイプとはいえ、これは俺が着ると絵面が地獄だな。俺は鎧の方を表示させとくわ」
「私は普通にトラ柄のビキニ表示でいくけど魔王は?」
夏は冬虫夏草のスルーといい、存外空気が読める男じゃな。まあ光に関しては脱ぎたがりじゃからな。
「わしは死ぬほど恥ずかしいから鎧表示にしたいところじゃが、女キャラである以上そういうわけにもイカンじゃろ? トラ柄のビキニでいくわいっ!!」
さすがにトラ柄のビキニで羽は見た目的にアレじゃし、羽は非表示設定にしておくかの。
「ま、まあねーちゃん! トラ柄のビキニだとネタ感あって、そんなエロい感じもしないし気にするほど恥ずかしくないって」
「おい! 夏それ微妙にフォローになっとらんぞっ! あとボス戦となればさすがに回復の専門職が欲しいのう」
「俺の知り合いに僧侶はいないな」
「私も」
「じゃあ野良募集するかの。ボスの討伐は野良募集でも埋まりやすい方じゃから、まあ大丈夫じゃろ!」
わしが『イカズチ』で雷竜討伐、僧侶一名募集とゲーム内の掲示板に書き込むと、すぐにパーティが埋まった。
わしの予想通りじゃな。
ちなみにパーティの募集は掲示板の書き込みから、クリックで入る仕組みで一パーティの上限が四人じゃから、今回の場合じゃと一人入った時点で自動的に募集が締め切られ、クリック自体が反応しなくなるわけじゃな。
なので個人チャットで詳細を問い合わせてから、加入というのはおすすめできないんじゃ。
とりあえずクリックすべきなのじゃ。
システムの性質上、うっかり誤クリックで全然関係ないプレイヤーが入ってきたりもよくあるそうなんじゃが、その場合はそのプレイヤーが抜けたらまたクリックできるようになるんじゃ。
ほどなくしてわしらのパーティに加入したメンバーが噴水に現れた。
「『苺』です。よろしくです!」
「ほいほーい苺ちゃんよろしくね。私は光」
「俺は夏、苺ちゃんよろしくー」
「わしは魔王じゃ。よろしくじゃ苺」
苺は課金の【僧侶専用ナースセット】の全耐性がある僧侶だけが着れるナース服と、注射器を持っとるな。
キャラの見た目も光並みのドスケベボディじゃし、中々気合が入ったプレイヤーじゃの。
そして苺が光の冬虫夏草を見て見ぬふりをしておる。まあそうなるわな。




