いらっしゃいませーなのじゃ
わしは今日これ以上レベルが上がるとまずいので『アチチ』で夏と別れて『ゼロ』に戻ってきておった。
ちなみに今は火耐性は必要ないのでメイド服を着ておる。というかメイド服はわしのお気に入りなので、耐性が必要な場面でもなければ基本はメイド服で過ごすつもりじゃ。
「さっそく夏からの戦利品の『魔法の指輪』を鑑定するかの」
夏曰く鑑定屋は『ゼロ』のわかりやすい場所にあるが、店長が無気力で気まぐれのロリババアという設定で店が開いてない時もあり、戦士じゃ使用できない『魔法の指輪』をわざわざ鑑定しに行く気がおきず、未鑑定品を街で他の店のNPCに売っても大した金額にはならないので、今までずっと持っていたそうだ。
ああ『ゼロ』の店が並んどる列の中でも、真ん中あたりにある古そうな店がそうか、今は店に明かりがついとるの。
「いらっしゃいませーなのじゃ」
店に入ると、確かに無気力なロリババアが棒読みであいさつをしておる。本当に大丈夫かこの店。ってかわしとしゃべり方が若干被ってるんじゃ。
「『魔法の指輪』の鑑定を一個頼むわい」
「わかったのじゃ」
ほんまに大丈夫なんか? と思わなくもないんじゃが、こういうキャラはやる時はやる系なのでまあ大丈夫じゃろ。
「こ、これは!」
鑑定が終わるといきなり無気力だったロリババアのテンションが上がる。
ぶっちゃけ、どんな鑑定結果でもこういうリアクションだから、期待しない方が良いと夏が言っておったな。
「何だったんじゃ?」
「『翼の指輪』じゃな。装備すると空が飛べるようになるリングじゃ」
「おお! 普通に当たりじゃの!」
「そうじゃのー」
ロリババアが再び無気力に戻る。
鑑定屋から出たわしは、さっさく「『翼の指輪』を着けてみる。
背中からバサッと白い羽が生えてきた。
派手じゃが、鎌と違っていくつも存在するもんじゃから『ゼロ』で装備してもまあ大丈夫そうじゃな。
いや、わしのキャラのかわいさや儚さが上がってしまうという意味では、大丈夫じゃないんじゃが。




