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そうしてお姫様は、

時計草の花園

作者: 東亭和子
掲載日:2019/12/09

 私が迷い込んだのは時計草が咲き乱れる花園だった。

 花園の入り口は開かれていた。

 私は誘われるようにこの花園に迷い込む。

 たくさんの時計草が咲く様は美しい。

 私は花園を一人で歩く。

 ここには誰もいないようだった。

 心地よい風が吹く。

 私は目を閉じてゆっくりと息を吐き出す。

 ああ、ここはとても素敵な場所だ。

 ずっといたいと思ってしまうような。


「おかえりなさい」

 急に声をかけられて私は驚く。

 にこやかな青年が立って私を見ている。

 誰だろうか?私は彼を知らない。

「上手くいきましたか?」

 青年の言葉に私は首を傾げる。

「あれ、上手くいきませんでしたか?」

 残念そうに青年は言った。

 上手くいくとか、いかないとか意味が分からない。

 私の混乱を察したのだろう、青年はじっと見つめるとため息をついた。

「そうか。忘れてしまったのですね。それでは仕方ありませんね」

 そう言うと青年は近くに咲いている時計草に触れる。

 それを見た瞬間に私は思い出した。


「一度だけ時間を戻すことが出来ますよ。

 但し、一度だけです。それを有効に使って下さいね」


 そう青年は言ったのだ。

 そして私はやり直すために戻った。

 けれど戻った私は全てを忘れていた。

 同じ過ちをまた繰り返してここに帰ってきたのだ。

 私は深いため息をついた。

 もう一度戻ることが出来たら、今度は上手くいくだろうか?

 私は青年をじっと見つめる。

 だが、青年は願いを叶えてはくれないだろう。

 青年はゆっくりと微笑んだ。

「時間です。さぁ、行きましょうか」

 差し出された手を私は握る。

 青年の導く先に何があるのか私は知らない。

 それでも着いて行く以外の選択肢はないのだ。

 私は諦めて青年と共に時計草の花園を歩いた。


その先には…


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