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アストリアvs魔族達(格闘、剣、魔法要素あり)【戦力差2:8】

魔族の少女──アストリアは、部下に裏切られて魔法が使えない身体になってしまった。

果たしてアストリアは、自分の大剣だけで魔族の大群を退ける事が出来るのか……?


戦場:屋内

視点:魔族の少女 アストリア

ポイント:意表を突く為に──


「来なさい【真紅の大剣】!」


 私は紅色の大剣を召喚する。


 それにしても──


「分かってはいたんだけどね……」


 大剣が本当に重い。

 身体の疲労も少なからずあると思うけど、身体能力強化の魔法が使えないだけでここまで身体が動かなくなるなんてね……


 私がどれだけ魔法依存で戦っていたかを痛感させられるわ。


「おっと、ご自慢の大剣さえ満足に持てないみたいですねぇ?」

「………………」

「んだよ、だんまりかよアストリアさんよぉ!」


 今の私の身体は限界に近い。

 そしてそんな状態で騒ぎたてる程、私は馬鹿じゃない。


「皆さん、アストリアは弱っています。ここは近接攻撃で一気に畳み掛けましょう!」

「くっ……」


 その言葉がトリガーになって、魔族達が私に襲い掛かる。


 私の武器は大剣だけ。

 でもその大剣は、私が貧弱なせいで使い物にならない。


 周りに良さげな武器も見当たらない。


 それなら──


(大人が相手だろうが、素手で相手をするしかないわ……!)


 体術は少しだけ学んだ事がある。

 付け焼き刃程度のものだけど、何もしないで野垂れ死ぬよりはマシ。


 そして何より──



 私はまだ、死にたくない!



「うらあっ!」

「せいっ!」


 単身で切り込んできた魔族の勢い、そして私の小さい体を利用して背負い投げ。

 その際に手首を捻って剣を奪い取る。


 その剣を──


「はぁっ!」

「うおっ!?」


 後に続く魔族達に対し、振り向きざまに薙ぐ。


 ──ギィン!


 魔族達はその剣を咄嗟に塞ぎ、この空間に甲高い金属音が響く。


 子供の筋力と魔法で強化された大人の筋力。

 比べるまでもなく、向こうの方が強い。

 このままではこちらが不利になる。


 ──なら!


「軌道を()らす!」


 鍔迫り合いに入る前に剣の軌道を横にずらして、私へ向かう力の向き(ベクトル)を横へ逃がす。


 無理な体勢で剣の軌道を変えたせいで剣は落としたけど──


「く゛っ゛!」


 軌道の変化に戸惑った魔族に、あからさまなスキが出来た。

 その魔族の間合いの内側に入り込み、顎に全力の掌底を撃ち込む。


 ──まずは二人!


 敵も馬鹿じゃない。

 間髪入れずに次が来る。

 体力の消費は少なくしておきたい。


 向かって来る魔族に対し、もう一度背負い投げを決める為に接近。



 ──その時、私の勘が全力で警告を鳴らし始めた。



 だけどもう掴み掛かってしまっている。

 投げ終わってからその場を避こう。



 ──この時、手を離してでもその場から引くべきだった。



「チェックメイトです。【暴風雨(テンペスト)】!」

「えっ!?」


 不意を突かれた私はその魔法に直撃する。


 まさか……味方ごと最大火力の魔法をぶっ放すとは思わなかった。

 私の部下がこんなに腐っているとはね……


「ぐぅっ……!」


 私の肢体は風によって宙に舞い、そのまま壁に叩きつけられる。


「ごふっ……げほっ…………っ!」


 真っ白な床が朱に染まる。

 叩きつけられた衝撃でどこかしらの器官が傷付いてしまったのか、呼吸しようとする度に咳き込んでしまう。


 けど、なんとか壁を伝って立ち上がる。

 でも三半規管がおかしくなったっぽい。

 どっちが床かよく分からない。



 ──魔法さえ使えれば



 そう思ってしまう自分が情けない。


『ないものねだりは虚しいだけ。無いなら無いなりにやる』


 これは母さまの言葉だけど、部下達にもそう言ってきたし、自分の中の信念としてもこれを掲げてきた。


 母さまの言葉が走馬灯のように流れてくる。

 なんなんだ、自分がこれではどうしようもない。


 でも、流れてくる言葉の一つに──


『全力でやって、それでも駄目な時は、きっと助けてくれる人がいるから』


 私は幾ばくかの希望を抱いてしまった。


ただただ戦闘シーンだけです。

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