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転移先は吸血鬼姫の目の前でした  作者: 刀夢
魔族生誕編
39/72

魔の森の危機


一連の騒動が一旦収束し

俺としても情報を整理したかったため

全員で集合し

会議を開く事にした


ただ流石にこの場所では

死体だらけで落ち着かないし


再度クイナ達と出会った所まで戻り

折れた木々に一旦腰を下ろして話を聞く

今回は俺の向かい側に座るのに

一人青年が追加されているのが

前回との大きな違いである


ーさて、どうしようか

まぁ、先ずは


「やっぱり…要るよね、名前。」


俺はため息混じりにそう呟いた

その言葉を聞いた青年ははしゃぐ…

ということは無かったが


明らかに嬉しそうな表情をしている…


名前つけるの苦手なんだよ…

そう思いながらも

青年には初対面からある印象を抱いていた

その深い黒紫の髪と

その下の鋭く切れ長の金の目から

どこか毒々しい印象…


なので毒蛇

ーヴェノムと名付ける事にした


俺から言い渡された

自身の名前の響きを確かめながら


「ヴェノム…ヴェノムですか。」

「フフッ…ありがとうございます。」


ーとその美しい顔に

深く笑みを浮かべながらに礼を述べる


とりあえずは気に入ってくれたようで

何よりである。


ーさて、本題に入ろう


「とりあえずは、この森に今何が起きているのか教えてくれないかな?」


この森は今明らかにおかしい

人族がわざわざこの森に

入って来ることなどは

今までほとんど無かった

脆弱な人族にとって魔物は脅威

基本的に魔物は、

何か異常事態が起こらぬ限り

自ら攻撃をしてくることは無い


その為、この森にわざわざ入って来て

魔物を討伐するなどという

リスクを負う必要性が無いのである


実際これまで

互いに不干渉を貫いていた


…それにも関わらず20人もの

人間があの場にいたのだから異常であろう


俺の質問に対してクイナが代表して応える


「今…この森には約一万人もの武装した人族が攻めて来ています。」


その言葉を聞き驚愕するー

ーい、一万ッ!?

それはもう軍による侵攻じゃ…


そして気付く

…ここは、この森は確かヴェルマスの領土

ーッ…アイツら完全にヴェルマスを奪いに?


恐らくは吸血鬼という脅威を取り除き

森の膨大な土地の利潤を得る為

そこに住まう魔物達を

皆殺しにするつもりなのだろう…


ーしかし

なんだ…何か違和感がある

どうして奴らはそこまで堂々と動けるんだ?


この作戦は、ヴェルマスの吸血鬼を

皆殺しにできているという事が

前提として必要

そうでなければ、軍を森に送った時点で

侵略行為として抹殺される為である


どうしてそこまで成功を疑っていない?

あのクズが連絡をとっていたのか?


そんな事を考えながらも続きを聞く


「この森に住まう12種族の元へと戦力が分散して送られてゆきました、蛇族には500名程…蛇族の家族は20世帯程でしたが…今頃はもう…。」


クイナは悔しそうな表情を浮かべながらも

そう言った


俺は、少し焦りを覚えながらも

クイナに問う


「この森で、今一番近くに住んでいるのは何族か分かるか?」


「近く…ですか?確か魔羊族であったかと。」

ーとクイナが少し考えながらも応える


それに対して即座に

「良しッ…助けに行くぞ!案内してくれ!」

ーと返答して立ち上がった


ヴェノム含め皆

驚愕の表情を浮かべていたが


直ぐに俺に続いて立ち上がり

その顔に笑みを浮かべて

クイナが目的を聞いてくる


「フフッ…アデル様は、一体いくつの種族をお救いになるつもりでしょうか?」


ーと


そんなものは決まりきっている

勿論

「この森に住まう全ての種族だよ。」


そう笑って言ってみせた

事態は一刻を争う

今度はヴェノムを先頭に俺達は走り出した


そうして俺達の激動の1日が始まるー

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