吸血鬼姫は動揺する
金髪の美しいロングの髪に透きとおるように白い肌、
そんな中にあって一層存在感を示す、
血のような色をした紅の目。
正に人外の美と呼ぶにふさわしい容姿をした
15、16歳程に見える少女。
彼女の名前は
アリシア=ヴェル=ブラッド
この世界において上位存在たる吸血鬼種の頂点。
圧倒的強者である。
もちろん見た目どおりの年齢ではなく、
実年齢は不明であるが
数百年は生きているとされている。
そんな彼女が動揺する事など、滅多にない
ーのだが……
今は酷く動揺していた
ーその日、彼女はいつものように玉座の間にて、
各幹部からの退屈な報告を受けていた
「本日も西方、東方諸国ともに動きはありません。」
「本日の、隣国との取り引きですが大きな問題はなく、無事終了しました。」
幹部達が、この国ーヴェルマスの重要な報告をしていく
いつものことではあるのだが、
如何せん退屈なのである、
なんせこの会議で私がやる事は、
「そうか、素晴らしい働きじゃ、大義である。」
と最後に告げるだけ、なのだから
もう必要ないのではないじゃろうか?と思う今日この頃である。
しかし、この日は私がこの言葉を告げることもなかった。
会議が突如中断されたのだ
こんなことは、この数十年一度もなかったのだが
まぁ今回は仕方ないだろう
人族の少年が突如として、
「ふざけるなよ!俺はお前を神とは認めねぇからな!お前なんて自称神(笑)で十分だぁぁぁ!」
とか、意味不明なことを叫びながら私の目の前に現れたのだから