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これは危機なのではないだろうか…
少年は驚愕するー
きゅ…吸血鬼!?
この世界には、そんな伝説的存在がいるのか…
確かに、
彼女の持つ力は正しく人外のものであった、
それに先ほどの急降下からの、急上昇…
それも彼女が吸血鬼で飛ぶことができる
ーというのであれば、納得できるか…
と、そこまで考えて、気付く…
ん…?つまりあの神とか名乗る馬鹿は、
いきなり俺を、
人間の天敵とも呼べる存在の前に転移させたのか?
まさか、そこまでいい加減だとは…
と、そこまで考えて、
疑問を浮かべる…
ならば、この吸血鬼姫は何がしたいのか?
部下から離れて…二人…吸血鬼…まさか血を!?
そんな恐ろしい可能性に思い至り
恐る恐る質問を投げかける…
そして返ってきた応えは想定外のものであった…
「フッ…そなたは何も知らぬのだな…」
「知能を有する生命への吸血行為は禁止されておる…」
「我らが主によってな。」
そう彼女は少し懐かしむような表情をしながら応えたー