(貧)NEW GENERATION 第2話 それは胸囲育成部
前玉うおるは、迷いのない目をして、二人にたずねる。
「どうして、あたしに声を掛けたの?」
ギャルっぽい女の子は答える。
「なんかねぇ、無口っぽくてぇ、顔が整っててぇ、眼鏡でぇ、姿勢が良くてぇ、左目が隠れててぇ、背は高くないんだけども、中性的でぇ、なんか、かっこいいから部活に入れたい! でしたよね、先輩!」
黒髪の上級生は深く頷いた。
「新入生ちゃん、あなたみたいな人材を、私は待っていたのよ! あなたが片方の目を隠しているのは、ずばり、美しすぎる貧乳から目をそらさせるための工夫でしょう。なぜわかったって顔をしてるわね」
新入生は首をかしげた。
「同じような事例が目の前にあるからよ! 髪にオレンジを差し入れることで視線を胸から外させている、われらが副部長、比入ひのでのようにね!」
その言葉をきいて、前玉うおるは、ハッとした。貧乳の隠蔽法に感心したわけではない。「比入ひので」という名前を知っていたからだ。
もしも、その名を耳にしていなければ、うおるはそのまま帰ってしまうところであった。もはや勧誘から逃れる理由は無い。
「ひので……ですか」
「ん? ウチがどうかした?」
ギャルっぽい女の子は首を傾げた。
次にとるべき行動が、瞬時に選択された。
「わかりました。ひのでさんがいるなら入ります」
「え、なにいきなり。こわ。うちのこと知ってんの?」
「あなたのお父さんと知り合いなんですよ」
「ふぅん……パパ顔広いな」
「というより、世界はせまいという方が相応しいかもです」
「なるほどぉ」
「だからといって、ひので先輩のお父様が理由というわけではありませんけども……」
「じゃあ何で」
比入ひのでは、近付くべき対象の一人だった。目的は、しばらく隠しておいたほうがいいと判断した。
「ところで……お二人は、何の部活をしてるんですか?」
前玉うおるによる誤魔化しの問いに、黒髪の部長は勢いよく答える。
「――胸囲育成部よ!」
部員が三人になった。
比入ひのでは、優しく笑いかける。
「とにかく、よろしくね、えっと……」
「うおる。前玉うおるです」




