表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
2章 各領地への遠征開始
55/176

54.愚かなワイトキング

 ワイトキングともなると、その姿こそ骸骨やミイラだが、知性は生前のまま変わってはいない。それどころか人としての枷が外れる為、個体差こそあれ魔力は増大しており元魔導士か元神官かわからないがその力は非常に危険。

 次々とスケルトン系のアンデットが地中から這い出し、一面アンデットだらけになってしまう。

 ゼノン・ランドルフと戦った訓練場よりも、かなり広い庭を埋め尽くすほど、良くもこれだけの数を用意していたものだと感心してしまうほどだ。


「他のは私に任せてあれをおねがいします~。 私だとたぶんすっごく大変ですから~」


 ナルタは両手の巨大棍棒で、迫り来るアンデットを叩き潰している。

 任せるといわれても、これだけの数のアンデットが襲い掛かってくる中、ワイトキングと戦う状況に持ち込むのは難しい。


「相手が油断でもしてくれれば」


 棍棒で目の前のゾンビを叩き飛ばし、ワイトキングの方を見る。

 ワイトキングは屋敷の前にテーブルを用意させ、椅子に座ると配下のスケルトンにお茶の用意をさせていた。

 人を離れた事で価値観の変動もあるとは思うのだが、こちらを敵だと認識していないのだろう。これならまだやりようがあるというかあのワイトキングは大馬鹿だ。


「ナルタ、少しだけ隙を作るからワイトキングに向け、この棍棒を思いっきり投げてくれ。 加減なしの全力で頼む」


 ナルタの背後に着くと、棍棒を差し出しながら周囲のアンデットとワイトキングの位置を確認。


「《アヴァランチ:スクエア》」


 全方位に向け、自分を中心に高さ1m程度の雪崩を発生させ、近付いていたアンデット達を10mほどだが押し流す。


「それじゃいきますよ~」


 棍棒を受け取ったナルタは大きく振りかぶり投擲。

 アンデットどもをなぎ倒し、ワイトキングにぶつかるかと思われたが、物理結界によりなんなく弾き飛ばされ、何事もないかのようにアンデットに指示をだし、優雅に椅子に座り茶らしきものを飲んでいる。

 しかし投擲によってアンデット達はなぎ倒され、ワイトキングまで一直線に道が出来た。

 身体強化を7割まで使用、全力でナルタが開けた道を駆け抜け、ブレーカーガントレットを大きく振りかぶる。

 ワイトキングは椅子に座ったまま余裕を持ってこちらに視線を向け、さらなる物理防御結界が張られてしまう。

 杭に魔力を流すとミスリル合金製の杭は抵抗なく受け止め、火炎の付加魔法剣化し杭が激しく燃え上がる。

 結界に杭の先端を叩き付けると同時に魔力とガントレットを開放。

 劈くような爆発音と共に射出されたミスリル合金製の杭は、何重にも張り巡らされた結界を打ち砕きワイトキングの頭を捕らえた。

 結界が砕け散った衝撃で周囲にいたアンデットは吹き飛び、こちらも反動で右腕全体が痺れ骨がきしむ。

 衝撃波によって舞った土煙が治まった後、視界に入ったのは頭部の7割を失ったワイトキングだった。

 結界を破るためにかなり威力が減衰した杭だったが、素体の単純な強度だけを言えば人間よりちょっと強固なだけの体ではまったく耐えられなかったようだ。


「仕留め損ね・・・・・・たか?」


 ゴースト系は異なるが、スケルトンやゾンビ系のワイトキングは、頭部を損傷すると著しく力を喪失する。

 何せ魂の器は残された身に宿るが、大部分は頭に集中する為、損傷が激しければその分四散し力と思考を失うからだ。

 だからこそスケルトンやゾンビは頭を潰せ、吸血鬼も首を切り離せと、全てのアンデットの対処法となっている。

 ワイトキングの両手がこちらに向けられ何かをしようとしている。僅かに頭部と顎が残されたため消滅だけは免れたがそれだけだ。

 このまま逃がせば数日の内に再生するだろうし、魔力をブレーカーガントレットに再装填する時間的余裕はないが、もうそんなものは必要ない。

 杭を元の位置に戻し、そのままワイトキングの頭に叩き付け完全に消滅させる。

 庭にいたアンデットたち主を失ったことで、骸に戻り一応の方が着いた。これで制御下にあったアンデットは全てただの骸に戻り、増え過ぎて制御外になりかけていたものは、体を維持するために僅かでも供給されていた魔力も途絶え、数日のうちにただの骸になる。


「おわりましたね~。 さすがにちょっと疲れました~」


 ナルタは腐れ肉で汚れた棍棒を捨てるとその場に座り込む。


「相手が馬鹿で助かったよ。 まともにやり合っていたら、丸一日くらいは戦い続けていたかもしれない」


 真正面から力押しで相手の油断を利用した。意外とこのような単純馬鹿な攻撃が、知性を持った各上相手には効果が大きい。

 何せ、自らが、【優位な存在】で【圧倒的力の差】がありこちらを【雑魚】だと見くびり、正確な【戦力把握】を全くしないからだ。

 相手が未知の武器を警戒して距離を取り、アンデットどもをけし掛け、さらに生前の魔導士か神官の力を行使されていたら、追跡や結界の解除と封印やらで一日はかかっていたはず。

 まともにやりあってワイトキングを消滅させられるのは、SやA級冒険者など経験豊かな者、はっきり言えば十騎士団の団長位の実力者だけだ。

 ナルタと共に廃墟となった屋敷を調べ、ある程度の金品や宝飾品とワイトキングが生前何者かであった証拠を回収することは出来た。これを証拠としてギルドに届ければ一応の討伐報酬はもらえるだろう。


「大変な日になっちゃいましたね~」


「臨時収入はそれでも助かるよ。 ワイトキングは高いから、討伐報酬は折半で良いかな?」


「はい~。 それでいいですよ~」


 僅かな例外を除き、ほぼ全てのワイトキングは危険な魔物として、ギルドで1200万フリスの報酬が確約されている。

異世界を戦車として進む

https://ncode.syosetu.com/n6870fl/


宜しければこちらも御覧下さい。

こちらは書き方や設定が全く異なりますのでその点はご注意ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ