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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
最終章 何が為に
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168.悪意の立ち回り

 身が焼かれるが、打ち払ってしまうと周囲の娼婦に炎が及んでしまう。


「水の精霊よ。 悪意を宿した炎より我を守りたまえ」


 火の勢いが弱まり、打ち払い部屋の反対側まで、騎士エンデを退かせる。

 全身の火傷は軽い状態だが、主に受けてしまった左腕の感覚がかなり鈍い、

 これはちゃんと治癒魔法で治さないと使い物になりそうにないが、そんな暇など与えてはくれないだろう。

 騎士エンデは今度は炎ではなく雷を剣に宿し、中段に構え連続して突きを放つ。

 魔法剣を自在に扱うため戦士としては優秀なのかもしれない。

 右手一本で剣を操り受け止め続けるが、騎士エンデは悪い意味で戦うのが上手い。

 受け止めて防がなければ、振り払われた雷が周囲に影響を与え、壁際によりながら小さくなり娼婦達は巻き込まれてしまう。


「雑魚が! 抵抗してるんじゃねぇよ!!」


 騎士エンデは守ろうとするものを巻き込み、相手が全力を出させないように立ち回る、勝つ為ならどんな被害が出ようと構わないのだろう。

 冷静に防ぎ続けるも、この狭い場所では長剣よりも、騎士エンデが持つやや短めのショートソードのほうが都合が良い。


「貴族として、騎士として誇りはないのか」


「てめぇの心配でもしな!」


 広い場所で周りに気を使う必要がないなら、苦労するほどの相手ではないが、左腕も使えず娼婦達を巻き込まないようにとなると、防ぐ以外の行動は難しく、何よりも殺すのではなく捕えるよう命令を受けている為無理も出来ない。


「植物の精霊ドリアード。 我は今魔力を奉納し」


「詠唱なんかしやがって馬鹿かよ!」


 左腕に剣が突き刺さり、そのまま切り落とされる。

 だがこのわずかな時間を得られれば十分。


「悪意を向ける者の自由を奪いたまえ 《スティグメー・アンベロス》」


 部屋中の木製の建具から植物の蔓が伸び、騎士エンデに向かっていく。

 伸びてくる蔓を着るもさすがに対応しきれず体を縛り上げられ、空中に持ち上げられる。


「くそが! てめ!」


 蔓が口にもまとわりつき、大声を出せないように縛り上げる。

 切り飛ばされた左腕を掴み、治癒魔法によって体に繋げ直し徐々に焼けども治っていく。


「騎士エンデ、騎士団の命により捕え牢へと繋ぐ。 意見があるならば、騎士団での聞き取り時に話すように」


 部屋の隅に居た娼婦達も、戦いが終わったと言うことで安心したようで、少しずつ出口に向かう。


「君達は帰るように。 もらうべきだった報酬は……、仕方ない私が代わりに払う」


 合計25万フリスを娼婦達に支払い帰ってもらう。彼女らも被害者であり、報酬をもらわなければ生活に関わる。

 後日騎士エンデに返却してもらうが、これだけの金銭を娼婦との遊びに使うとは剛毅な事だ。

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