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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
最終章 何が為に
165/176

165.アンデの才能

 数日繰り返すだけで素振りの時間も若干早くなり、少しだが午前の訓練時間に余裕が出てきた。

 毎日一対一で真剣に指導と練習をしている為か、目に見えてアンデの実力は伸びている。


「本日から基本的な頭の鍛錬も行う」


 兵士として読むくらいは出来るが、書きと足し引きを出来る者は意外と少ない。

 実際必要としないのもあるのだが、今回の一件を考えるとアンデには知識を与えるのもいいだろう。

 読み書きと足し引き、これが出来れば自ら学ぶことが出来るようになる。

 用意した木板に書かせてみるが、やはりアンデも読みは出来るだけで、書きや計算についてはかなりあやふやなものだ。

 一般市民の識字率はさほど高くないのは仕方がない。事実生活するのに読みと最低限の計算さえできれば、大した問題にはならないのだから。



 午後、無差別組手の最中、振り上げられた手斧を受け止めた長剣にひびが入る。

 体勢を崩すほどではないが、傷んでいる練習用の剣を壊せるほど力を出すとは驚きだ。

 ひびの入った剣を手放し、アンデの右腕と首を掴み地面に叩き伏せる。


「及第点。 良い動きと力の乗せ方が出来ている。 今の力の入れ方を忘れないように」


 掴んだ首にはわずかだが体毛らしきものがある。手を放し立ち上がらせ、念のため確認をする。


「もしかして、獣人族か?」


「はい! 獣人族らしいです!」


 この身体能力の高さも、獣人族特有だと考えれば当然の事か。ただの人間に比べて獣人族は何かしら秀でている、瞬発力の高さと戦闘センスのよさから考えて肉食系だろう。


「虎種か?」


「わかりません! でも獣人であることは確かです!」


 貧民街では両親が分からない事はよくある。不明でも孤児院などで育てられ、見習い兵士や商人見習いになれる歳になると孤児院を出て働き始める。

 アンデがいつも着けているヘルムを外すと、獣人族特有の耳が現れた。

 詳しくはないが、おそらく猫種に分類される獣人だと言うことは確かなようだ。


「そうか。 なら肉はもっと食べたほうがいいだろう。 今回から多めに渡すから、その事を食堂の担当に伝えるように」


「わかりました!」


「では 訓練を続ける。 私は素手で戦うから、手斧でかかってくるように」


 それから見習い兵士の訓練終了時間まで、何度となく地面に叩き伏せたところで本日の訓練を終え、多めに肉を渡すとアンデは急ぎ足で食堂に向かっていった。

 一度食えるだけ肉を食わせてやりたい所だが、一見習い兵士を特別扱いするわけにはいかない。

 何かしらの実績を上げるまでは、控えるべきだろう。



 自らの用件を済ませる為、軽く身だしなみを整え直し兵士の詰め所に向かう。

 扉の前には警戒する兵士が待機し、子爵として兵士の敬礼に応え中に入る。

 中は静かどころか騒がしく、私の姿を見ると静まり20人近くの兵士が敬礼をする。


「突然すまないが、フィリップス兵士長について聞きたいことがある。 少々話しにくいこともあるだろうが、そこはすまないが話してもらいたい。 大したものではないが、酒と料理を用意してある」


 市場で購入した酒数樽と、焼いた肉やパンと果物をテーブルの上に並べる。

最近更新が遅れ気味ですね。

申し訳ない。

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