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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
153/176

153.ソフィール神聖王国へ

 アダマンタイト製の鎧をドワーフの国、ウルツァイトに修理依頼を出し、ソフィール神聖教国へと向かう。

 正規のルートで入国する事は出来ないため、密入国する事になるが、そこはどうしようもない。



 北西にあるソフィール神聖教国 国境線に一番近い町まで魔道蒸気列車で移動、要塞都市を出てから国境近くまで森の街道を抜ける。

 遠目に見えてきた国境線沿いには城壁が建てられており、城壁上部の通路では両国の兵士が警戒に当たっている。

 オーディン王国側では騎士達が警戒し、反対側ではおそらくソフィール神聖教国教徒が警戒しているはず。

 ソフィール神聖教国は兵士さえも教徒であり、完全な宗教国家。話など通じるはずもない。

 どうすべきか、警戒は厳重で強行突破すれば、かなりの騒ぎになってしまうだろう。

 教国から外部に出る者はいても、中に入る事は如何なる国であろうとできない。オーディン王国の外交官も入れないため、ソフィール神聖教国の中に入った者は調べた限りいない。

 城壁から離れた場所、誰にも見られないよう森の奥に戻る。


「大地の精霊グノーメ、今力を魔力を奉納し汝の力を求める。 大地に風穴を開け道を示したまえ」


 地面に人が通れるくらいの穴をあけ、地中を潜ることで城壁を超える手を選んだ。

 空気が通る穴を残しながらも地中を進み、一定以上進んだのだが、目の前には城壁の石が塞いでいた。


「これは、地中に防壁を建設していたのか。 だがこれほど深くできるものなのか?」


 いま地上からおよそ5m下を進んでいるのだが、城を作るならまだしも国境の城壁でここまで掘るのに違和感を感じる。

 さらに深く潜り、風の精霊の力も借りて呼吸を行いながら、城壁を超えて地中の穴を進む。

 20分ほど進み続け、体感では1kmほど国境から離れただろうか。地上に出ると周囲は森で、動くものの気配はない。


「ここから北だよ」

「かなり強く転移者の気配を感じます」


 いつの間にか妖精のエルとリーアナが肩に乗っている、転生者相手ではないときは屋敷で食べているか、自由に遊んでいるのだが、やはり二人が真面目な時は気が引き締まる。


「了解した。 注意する」


 夜の闇と森に紛れ北上し、数時間歩き続けるとおかしな光が目に入り、気配を殺しながら近づいて驚いた。


「これは……」


 目の前には科学でしかありえない、前々世には当たり前に存在していた電灯、科学の光が夜の闇を照らしていた。

 蛍光灯ではなく電球ではあるが、紛れもなく科学の産物。


「調べる必要があるか」


 背後の空間からひび割れのような穴が開き、白い腕が一本の魔剣を取り出し、力を引き出し気配と姿を消す。姿が完全に消えたことで街頭に照らされている、あぜ道を進んでいく。

 徐々に農道からまともな道に変わり、機械で舗装されたかのように平坦かつ固く土が固められている。

 少しずつ増えていく住居も木やレンガ造りではなく、合成木材と思われる板を外壁に使うか、コンクリートのようなもので建てられている。どの家もガラスも潤沢に使用され、はるかに文明程度が高い。

 まだ薄暗い早朝である中、すれ違う人々の服装も日本的で、靴も全く異なる。

 住居、道、電灯、服装、そこは紛れもなく日本であった。

 余りにも他の国家と文明程度の発展差に、転移者の介入を色濃く感じる。


 朝になっても驚くべきことばかりで、自動車らしきものも、形状が洗練こそされていないが、蒸気エンジンらしきもので稼働している。

 余りの状況に絶句、ほとんど科学で構成され、再現できていない部分は魔法で代用しているように見える。

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