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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
150/176

150.体調

 体の調子を取り戻すためと、アースドラゴンを駆るために、王都のダンジョンを潜っていた。

 最下層周辺で体調の様子を見ながら、アイスツーハンデットソードでレッサードラゴンとオーガを仕留め、死骸は全て売り払うために亜空間倉庫にしまい込む。

 それなりに身体強化をしているが、思ったよりも血は増えているらしく、注意はしているが貧血になるようなことはない。

 さすがに出血してしまうのはまずいが、この状況ならば、アースドラゴンと激しい戦闘になっても体は耐えられるだろう。

 階層を降り、最下層のアースドラゴンが待つ扉の前に行くと見た顔の騎士が居た。


「これはグレン殿ではないか」


 精悍な顔つきと青髪に見慣れた槍と盾、まさかランドルフ伯の子息であるゼノン殿が居るとは思いもしなかった。


「偶然ですね」


「そのとおりだな。 何用でここにきたのだ?」


「怪我の治り具合を見るために、アースドラゴンと戦おうかと」


「そうか。 私もまた継承戦で負った傷の様子をみるためにな」


 ゼノンもまた王位継承戦争で名をあげ、地方ではあるが空いた領地を治める伯爵の地位を与えられている。

 何よりもセグレスト公爵側の多くの騎士たちが戦死したために、王都だけではなく各領地を統べるものが減りすぎた。

 その為に貴族として、ふさわしい知性を持ち得るのならば、貴族の第二子も新たな貴族として領地が与えられ、ゼノンもまたそのうち一人として選ばれていた。

 やはり名のあるランドルフ伯爵家であり、騎士として貴族として出来た人間である為だろう。


「しかし、グレン殿は新しい名も承り、うらやましい限りだ。 私はランドルフの名を持ちながら、新たな領地を治めることになり、新たな名を拝命するほどの活躍をすることはできなかった」


 グレン・ヴァイカウント・ヘクサス、一応の新名の子爵にはなったが、これは王都を守る騎士としての役目となる。

 一応の誉れではあるが、領地持ち自らの民を守る者とは異なるだろう。


「ランドルフ家は代々続く名家、新しい名もよいですが、親類として名を継承できるのも誉と思います」


「確かにそうだ。 しかし、家を建てるという名誉も欲しいものだ。 失礼した、余談が過ぎたな」


 ゼノンは槍を持ち直し、階層主が居る扉のほうを見る。


「アースドラゴンは一体のみ、ともにアースドラゴンと戦うのはどうだろう」


「確かに、調子を見るために、お互いカバーしあえたほうが安全でしょう」


 互いに騎士が警備している門をくぐり、ダンジョン主であるアースドラゴンが佇む部屋に入る。




 巨大な体躯を持つアースドラゴン、人よりも巨大なアギト、大木よりも太く竜鱗で覆われた四却、15mもある姿は相も変わらず威圧感がある。

 アースドラゴンの近くには骨が転がっており、最近挑んだ者達が救助する間もなく倒されたようだ。

 決して弱くはないアースドラゴンに挑み、死亡する騎士や冒険者は後を絶たない。いくら救助するために騎士達が居るといっても、常に間に合うわけではない。


「どうやら、先客は負けたようだ。 油断はできないがどう出る」


「左右から挟撃といきましょう。 動きそのものは氷魔法で鈍らせますが注意を」


「魔法剣士、いや今後は魔法騎士か、便利なものだな」


 ゼノンはヘルムをかぶり直し、大ぶりな重槍と大盾を構える。

 騎士としてはやや重装よりではあるが、それを微塵にも見せない身体能力と技があれば、身体強化魔法以外などほとんど不要だろう。


「私など、一方を極めることのできない半端者ですよ」


 魔法を極めるわけでもなく、剣技を極めるわけでもない、どっち付かずであり一般的に限界は高くない。

 器用貧乏であり、状況に応じて剣と魔法を使い分ける手間や、戦いながら最適なものを選ぶ必要性など、想像以上に大変なことだ。

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