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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
149/176

149.武器造りとイノ

 翌日、キョウキに渡すための武器の制作に移る。

 余り血液を流すわけにはいかないので、今度の魔剣は小さくショートソード造り。

 以前造ったときは大量の血液を長く使用し、剣の作り方もわからず、量産の品の剣を魔力と血液で根本から変質させたが、今回は基本として魔剣を作り上げる。


 購入してあった鉱石で装飾のないショートソードの基礎を作り、僅かな血を混ぜ込みながら揮発しないように特性を殺した魔石と共に融合させる。

 出来上がったショートソードで右手のひらを切り、僅かずつ血を流し刀身に触れながらゆっくりと魔力を流し込む。

 五日間、毎日少しずつ血を塗り込み、魔力を流し続け、ある時から急激に性質が変化、魔力の抵抗がなくなりすんなりと剣に力が吸い込まれていく。

 左腕に剣を貫通させ、さらに魔力を流し込むと性質が安定し、本来の黒い魔力を纏う。

 これで完成であり、あとはキョウキに贈れば終わり。



 次は、女学院に入学が近いイノには何か贈るべきだが、しかし養女とはいえ何がいいのだろうか。

 シーナであれば魔法道具をとても喜んでいたが、シーナは装飾品だろうか。

 考えてみれば、ほとんどイノと話したことがなく、何を望んでいるのか、何が好きなのか全く知らない。

 この状況では突然何かを渡すより、ナルタにでも聞いたほうがいいはずだ。



 側使え兼護衛として訓練中のナルタに話を聞くため、屋敷の一階の部屋に移動する。

 雇った教育係に指示を受けながら、お茶の入れ方や貴族と共にある護衛の仕方を教わっていた。貴族の側仕えとなると、粗相があれば主の失態となるため、高給と引き換えに厳しいものとなる。


「好みはあまりないですよ~」


「いや、それでも入学祝を何か贈りたいんだ」


「そうですね~。 グレンさんの召喚魔法を覚えたいって言っていたと思います~。 あと仲がいいソードウルフの子たちがいますよ~」


「ありがとう よくわかった」


 ギネガとギュネーの譲渡、あの2精霊ならイノでも使いこなせるだろう。消費魔力も少なく、常時召喚して居ることもできる。



 エントランスに移動し、会談の横に立つ二体のアメジスト人形の前に立つ。


「《ギネガ・ギュネー》」


 アメジストの人形が動き始る。しっかり宿ってくれたようだ。


「二人はイノに力を貸してやってほしい。 頼めないだろうか」


 お互いを見た後、少し考えるようなそぶりをした後うなずいてくれた。

 二人がゴーレムではなく人形の精霊といっても、並みの冒険者より頼りになる。


「これはギネガとギュネーに贈る。 イノの事を頼む」


 新たに魔石を奉納し、ギネガとギュネーにイノのことをしっかりと頼む。

 二人が帰還したあと次には、ソードウルフ達がいる小屋に行く。

 庭の隅にある大き目の小屋には、ソードウルフ達が暮らしており、ルーンウルフのジノとは違って屋敷内の警備などをしている。

 ジノに命じられているようだが、彼らとしても体を動かし役目があることが安心するらしい。

 長の主ということで、警戒しながらも立ち上がるこちらを見ている。


「イノと仲が良いのは、誰だ?」


 二匹が前に出てくる。

 しゃがんで様子を見る、酷い怪我をしている様子はないが、古傷らしきものは多くある。

 随分と戦い慣れている様子で、守れるかはどうかは別として強くはあるだろう。


「イノが女学院と言う所に行く。 ついて守ってくれ。 報酬は、そうだな。 イノに一年分の食費を渡しておこう」


 二匹はうなずくと小屋を出ていく。

 急ぎイノに渡すべき食費を稼ぐためにまた狩りにでなければ。


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