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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
139/176

139.服

 7人分の服となると、一般冒険者から考えれば一財産吹き飛ぶ価格となる。一応のたくわえはあるが、またアースドラゴンか下層で魔物狩りにでも行かなければ、たくわえが減ってしまう。

 ただでさえ鎧の修理のためにドワーク国に送る、かなり金がかかってしまう。貴族になるといってもまだまだ先のことであり、給金だけで足りるわけもなく自分で稼がなければ。


 翌々日、屋敷を出て大通りの中で老舗の服飾店に向う。


「ここね」


 皆で訪ねた店は兄アークスに薦められた店であり、高級感のある落ち着いた店だ。

 扉を開け中に入ると、素人目に見てもどの品も落ち着いた色合いの生地が多く、かなり品質がよいように思える。


「いらっしゃいませ。 グレン様ですね。 アークス様より伺っております」


 すでに話が通してあるのは、さすがにアークス兄さんというべきだろう。


「それぞれに服をお願いするわ」


 サーシャはそう言うと女達だけで一角に向かっていく。


「我々も済ませよう」


 私はリヒトと共に他の別に一角に向う。従業員が採寸のために何人も集まり、体のサイズを測っていく。

 その中でまとめ役と思われる人物が生地や書類を持ってきた。


「どのような服をご用意いたしましょうか」


「戦えるデザインで頼む。 動けないのでは意味がない」


 羊皮紙に何かを書きみながら、何かを考えているようだ。


「では、アークス様が愛用なされているデザインで如何でしょうか。 丈夫でとても動きやすいものです」


「あんまり高価な生地は使わなくて良い。 子爵に相応しい生地やデザインで頼む」


 仕立てた服装は兄アークスと同じと成れば幾らになるか分かったものではない。それに公爵の夫である兄と同じ生地とデザインのものを、子爵の私が着用するのは良くない。地位や性質に合ったものをきるのが一番だ。


 安価な当て布を体に合わせ、様々な仮縫いの服を作っていく。朝に屋敷を出たのだが、すでに昼を過ぎている。


「いくつかデザインいたしましたので、こちらを御覧下さい」


 テーブルの上には安価な布の仮縫いだが、いくつもの服が置かれている。どれも動きやすさを考慮しているらしく、よく見る貴族の服とはデザインが異なる。

 デザインの中でもっとも質素なものを選ぶ。


「これでいい。 数着色違いで頼む」


 こちらの用件を済ませ、サーシャ達のほうに行くとすでに何十着も用意され、宝飾品も幾つか置かれていた。


「早く終わったわね。 こちらはまだ掛かるわよ」


 サーシャはこちらを向く事無く、自らとイノの新しい服を選んでいる。

 ラクシャやナルタも必要な服を見立てているのだが、まだ当分かかりそうだ。


「お客様はこちらへ」


 従業員に本とお茶のみが用意されている待合室に案内され、のんびりとただ時間を過しながら待つ。


「終わったわよ。 帰りましょう」


 終わる頃には夜になるまで掛かり、全員合わせて80着くらい用意された。その数に予想される金額に頭が痛くなってくる。




 数日後、高くはついたが見た目と実用性の両方の服が出来上がった。サーシャ達女性人は貴族の服と、実用性を優先した二種の服を数十着を仕立て、約890万程の支払いとなり一財産が消え去った。

 貴族の服飾が身嗜みを整えるとなるとかなり金がかかるのは分かっていたが、最初から一揃えをするためにはこれだけの費用が掛かるとは思っていなかった。

 まだ余裕があるとはいえ、個人的な懐はかなり寂しい事になりそうだ。


「グレン様。 シーナ様より書簡が届いております」


 昼を過ぎたころ執事が妹のシーナに出した書簡の返しが来たと持ってきた

 中を開いて確認すると、半月後学際があるのでその機会に訪れるよう書かれている。

 サーシャ達と訪ねるには丁度良いだろう。

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