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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
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137.久しぶりの学園

 数日後、王国中の貴族や騎士が集まる中、エウローリア公爵が龍の大地から戻り、正当な王位継承者として2年後に王位継承式典が行われる種が発表された。

 それまでは乱れた国政を整えなおし、戦争で減った貴族や騎士団員の補充と再配置が必要となる。



 屋敷に戻り、失った血液を取り戻すため体調管理と鍛錬で過していると、王城より文官が尋ねてきた。丁重に対応しようとしたところ、入り口で書状を開かれた。


「グレン・ソーディアン。 汝を王都の貴族、子爵として認め、新たな名 ヘクサス を与える」


 これが私に与えられた戦争の功績と報酬らしい。しかし王都の貴族となると、王家からの給金と自分での稼ぎが主となる、いろいろと面倒な事になりそうだが、ランドルフ伯爵の爵位を得ろという命はこれで問題ないだろう。


「謹んでお受けいたします」


 文官は頷くと頭を下げ書類を閉じてまとめなおす。


「正式な任命式は王位継承式典以後となる。 心して準備を進めておくように」


 認められた書状を手渡され、文官は帰っていった。

 サーシャもテラスの二階から眺めていたのだが、階段から降りてくる。


「何をするにしてもこれからは手間が減るわね。 あぁ、それでも学園に正式な貴族になった事と名の変更届けをださないと」


 入学してそろそろ1年、考えてみれば最初の頃以外、全くと言っていいほど顔を出していなかった。1~3ヶ月程度体を休め、ソフィール神聖教国に向う準備を整えてもいいだろう。


「これから変更してくる。 サーシャはどうする」


「私はイノとお茶をしているわ」


 そういうとサーシャは側仕えを連れて庭に向っていった。

 あと2ヶ月か3ヶ月、祖父レオハートの言っていたシーナの観覧というのも、良い機会かもしれない。

 雇いであるが執事を呼び、貴族院を訪ねても良い日の確認を任せ学園に向った。



 学園の門をくぐると多くの学生が広場で訓練に励んでいる。今年は戦争があったので、来期の騎士募集が多くなるため皆訓練に実が入るのだろう。

 事務所に向かい書類を書き終え、次の授業が始まるということで参加する為訓練所に向う。


 訓練場には30人ほどの生徒が集まり、教官の前に並んでいた。


「本日はゴーレム魔法の実習を行います。 造形魔法は想像力によって形が大きく変容し、また力も異なります。 その為作業に向いた造形をイメージしましょう。 今回は戦闘用ゴーレムを作ってください」


 初級から中級ゴーレムについて話しているのだが、精霊と対話し一時的に憑依してもらうならその様な必要はない。一方で、精霊に憑依してもらう以上相手を尊重する必要がるので一長一短ではある。

 精霊のギネガとギュネーもまた契約した精霊であり、ゴーレムに宿ってもらえれば高度な作業が可能となる。そのぶん気位が高いので条件は多くつくが。


「そこの君、ちゃんと作業をおこないなさい」


 考え事をしていたら教官に怒られてしまった。

 出来る限り詳細にフルプレートの騎士の姿を、作り上げる形を意識しながら魔力を詠唱を行う。


「地に伏せし大地の精霊 グノーメよ。今魔力を奉納し 大地より従者を使わせ給え《ストーンゴーレム》」


 地面が盛り上がり、若干歪ながら石の剣を握る3mほどの騎士のストーンゴーレムが出来上がる。


「まぁまぁかな。 中段に構え」


 騎士のストーンゴーレムは命令どおりに剣を中段に構える。動きが少々ぎこちないのは、イメージが悪かったからだろうか。元々ゴーレムについては繊細のイメージをするよりも、一部が壊れても問題がない石同士が結合したタイプを多用していた。

 このあたりは今までの影響だろう。


「余り出来がよくありませんね。 もう少しイメージをはっきりとさせてください」


 教官に言われて一度ゴーレムの使役を解除し、魔法陣を描いてからイメージをさらにしっかりと固める。


「地に伏せし大地の精霊 グノーメよ。今魔力を奉納し 大地より従者を使わせ給え《ストーンゴーレム》」


 今度は先ほどよりも形がしっかりと出来上がり、彫られた石像程度のものとなった。これでも満足と言えるかは分からないが、とりあえず私の趣味ではない。


「そうですね。 これならば戦えるでしょう。 イメージをしっかりもってゴーレムを作ってください」


 教官は合格と言うか満足の表情をしている。しかし、実戦で役に立てるなら形状よりも、戦闘力を優先することが重要だと思うのだが、本当にこれが教育方針でいいのだろうか。

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