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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
132/176

132.積み上げられた強さ


「それにしても、セグレスト公爵の兵士って何かへんね。 あの質じゃもしエウローリア公爵がちゃんと騎士や兵士を連れてきていたら戦いにならないわよ?」


 確かにシーナの言うとおり、かなり数で劣っているのにやや対等以上に戦えている。

 転移者の用意した武器以外に何か秘策があるとみた方がいいかもしれない。

 そうなるともう休んでいるわけにはいかないだろう。


「もう充分休んだ。 自分は行く」


 イスから立ち上がり、体を軽く動かすとまだ完全ではないが少しは体に水と栄養が回ったようだ。


「そうね。 私もそろそろ行こうかしら」


 サーシャもテーブルとイスを自らの亜空間倉庫に片付ける。


「私は前に出れないし、魔力がもう少し回復したら詠唱妨害の協力に回るわ」


 アンデットドラゴンの召喚詠唱でいまだにシーナの魔力は回復していないようだ。

 当のドラゴンは戦場を見ているだけで動く様子はない。


「無理はするなよ。 セグレスト公爵側には何か秘策があるかもしれない」


 左腕にガントレットを付け直し、背負っていた剣を握りなおす。


「グレン兄さんこそ。 サーシャ義姉さんも気をつけて」





 その頃最前線では兄アークスと義姉ロータス様が、アルンフォル公爵家とクラノウス公爵家の当主と戦闘に入っていた。アルフォンル公爵とロータス様の詠唱と詠唱妨害、それを支える為に兄アークスが前に出てクラノウス公爵とそれに従う二家の騎士団長を相手に剣撃が行われている。

 むろん周囲では白鳳騎士団と公爵家に使える騎士団の、一進一退の攻防が行われていた。

 公爵家当主ほどになるとも高度な治癒呪文が常時かかり、腕や足の欠損などすぐに治癒してしまう。頭部を完全に潰すか心臓を抉るか、魔力切れまで切り刻むか、もしくは即死させる以外倒す方法はない。

 しかし3人相手は楽なものではなく、今横槍が入ればかなり不味い状態になるだろう。




 白鳳騎士団の前線に向かい、3人相手に苦戦している兄の姿を見つける。


「アークス兄さん! 援護します!!」


 身体強化魔法、そして呪殺剣 鬼喰らい 天津風の能力、身体強化負荷5倍に全身に走る痛みに耐えながら戦いに加わる。

 大振りの大剣は多数戦に向いているようで、練達して相手には極めて不利になるが、騎士団長という相手に過度の身体強化を施さなければ自分では戦いにすらならない。

 技術ではあらゆる点で劣っているからだ。


 横薙ぎに振るった大剣の中頃に長剣を当て上に弾き上げられる。

 理解しいても軌道をずらされる事を抗えない素早く正確な剣術、そしてその弾きあげた剣を上段に構え振り下ろされる長剣を、強化された身体能力で目の前まで無理やり大剣を戻し柄で受け止める。

 そのまま体を半歩後方に捻り、引き戻された長剣の突きを避けながら大剣を振り下ろす。

 しかし幾ら身体能力が強化されてるといっても所詮は大剣、動きに溜めがあり簡単に回避された大剣を踏みつけられ、剣を持たない左手が眼前に迫る。

 そのまま首を掴まれかけるが、前に出ることでタイミングをずらしヘルムをぶつけ、そのまま組討の体勢に持ち込む。

 接触するような至近距離線になれば、長剣も大剣もない。左手は大剣を握ったままなので歪な形だが、力任せに胴を殴りつけると、ガントレットと敵騎士団長の胴プレートが大きく歪み、2mほど離れた場所に弾き飛ばす。


「ぐっ・・・」


 しかし追撃は出来ず、口から血が溢れ出す。

 殴った瞬間、敵騎士団長の短剣が鎧の隙間から鎖を突き破り、腹部に刺さっていた。長年積み重ねられた経験や鍛錬を相手に、身体能力だけではほとんど勝負にならない。

 突き刺さった短剣を掴み引き抜くと血が流れ出すが、常時かかっている治癒によって出血だけはすぐに止まるが、切れた筋肉や痛みによってさらに体の動きが鈍る。


「グレン無理をするな!」


 兄アークスは相手が二人になったことで徐々に押し始めている。このままなら勝てるはずだ。

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