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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
127/176

127.序盤の終わり

 背後から槍を使う兵士を振り返りながら切り倒し、奪った槍をそのまま近くの騎士の頭部に叩き付ける。横方向から叩き付けたことで、ヘルムは無事でも首が持たず折れたようでそのまま倒れた。

 しかし他の騎士は剣を構え、一人が斜め後方から胴薙ぎに、もう一人は正面から上段から振り下ろす構え。

 一歩下がりながら後方から迫る騎士を上段から切り伏せ、剣を戻す暇もなく上段から振り下ろされる剣を左腕と左肩の鎧で受け止める。肩に僅かにめり込むがドワーフがつくったアダマンタイトの鎧は歪むだけで受け止めて見せた。

 体を前に出し体当たりで騎士を数歩下がらせ、体を捻りながら片手で斜めに剣を振り下ろし騎士を鎧ごと切り潰す。

 動く事に問題ない程度に傷が塞がった時、一人の騎士が他の騎士や兵士を押さえ前に出てきた。


「我が名はセグレクト公爵に使える4猛騎士団 ヘルファングの騎士であり副長 ライオット・フォル・ヴァイカウント・グラシエン! 汝の命は我が貰い受ける!!!」


 名乗りを上げるということは、名家なのだろうがグラシエン家など聞いたことがない。しかし名乗りを上げた以上こちらも答えなくては義に反する。


「グレン・ソーディアン、子爵家の者。 お相手させてもらう」


 雑兵がいるとはいえ、他の騎士はこれで襲い掛かってくることはない。

 四方を騎士や雑兵に囲まれながら円形の空白が生まれる。

 倒したとしても即座に切り刻まれる可能性があるが、それでも僅かながら体を癒す時間を得られるのは幸運だ。


 騎士のもつロングソードを中段に構え盾を持つ真っ当な騎士。副長というだけあって踏み込めるような甘い構えではない。

 先手を取り胴を薙ぎ払うように振るうが、盾で地面方向に受け流され、踏みつけられ抑えられ、その流れで突きがフルヘルムの左側表面を削る。

 大剣から両手を離し、騎士の右腕を掴んで力任せに殴りつけ圧し折る。荒っぽく騎士の正道から外れているが、それでも優先すべきは生き残る事であり、なりふりなど構う必要はない。

 手から落とした剣を掴みヘルムの隙間に突きこむ。



 仕留めると同時にいままで見ているだけだった騎士や兵士達が一斉に襲い掛かってくる。

 呪殺剣 鬼喰らい 天津風を握りなおし、僅かにだけ力を引き出す。

 力任せに振り切ると騎士や兵士が鎧後と断ち切られ、体の残骸をばらまきながら地面に転がる。

 体に響く反動は今まで以上になったが、ほんの僅かに引き出すだけで、2倍の身体強化が施されている。身体強化と併用して限界まで引き出せば6倍程度まではいけるだろうか。

 ただし、そこまで引き出せば体がどうなるか。作ってくれたあの鬼が言ったように、命を削る代償に人としての限界を超えるか。


「ヘルファング騎士団! 団長の首はこのレオハートが獲ったぁぁぁ!」


 祖父レオハートの大声に一部の騎士や兵の動きが乱れる。


「《バスターブレスト》!」


 乱れている隙に、5つの破壊の波動が周囲の騎士や兵士を薙ぎ払い一直線に敵兵の空白地が生まれる。

 走り抜けようとしたとき、別の方向からび破壊の波動が通り過ぎ、祖父レオハートの姿が見えるとこちらに走り寄ってくる。


「さすがに疲れたわい。 一旦陣にわしはもどるが、グレンも戻れ」


「私はまだ 副長を仕留めただけですので、もう少し頑張ろうかと」


「いや、一旦戻れ。 そろそろ敵の油断と混乱も終わる。 冷静に数で押されれば命を落とす」


 祖父の言う事も確かだ。少数での突撃も相手がこちらに対して油断も多々あるが、祖父が団長を倒した事で敵は警戒する。これ以上の長居はよくないだろう。


「では、仲間と共に戻ります。 お爺様はお先に」


「急ぎ戻れよ」


 祖父は迂回して敵兵を切りながら陣のほうへと走っていく。

 近付きつつある騎士や兵士に気を張りつつ、離れた場所で戦っているもう一つの騒ぎになっている場所に急ぐ。

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